[アジア選手権予選]AFCの規定変更により大会登録が認められなかったイゴール「状況は全然わかりません」

日本サッカー協会は4日、タイ・バンコクでAFCフットサル選手権2018東地区予選を戦っているフットサル日本代表に、メンバー変更があったことを発表した。代表メンバーの一員として、開催地のバンコクに渡っているGKイゴール・ピレスの大会登録が認められなかったため、GK矢澤大夢を急きょ、日本から呼び寄せた。矢澤は4日夜にバンコクに到着し、チームに合流。5日のマカオ戦からはベンチ入りする見込みだ。

FリーグのMVPを受賞するなど、Fリーグ最高のゴレイロと称されるイゴールは、2016年1月にブラジルからの帰化申請が承認され、日本人となっていた。その後、2016年4月には国際親善試合のウズベキスタン代表との試合で、フットサル日本代表デビューも飾っている。

過去に日本代表でプレーした実績もある守護神が、大会登録メンバーに認められないという極めて異例な事態は、なぜ起きたのか。

これまでにも日本代表として親善試合を戦ってきたイゴールだが、アジアサッカー連盟(AFC)主催の試合・大会には、出場したことがなかった。帰化選手を出場させる場合、その最初の試合・大会を前に、アジアサッカー連盟に対して、過去に代表歴がないことを証明する書類を、その国のサッカー協会から取り寄せて送らなければならない。

森岡薫をはじめ、これまでにも帰化選手が日本代表でプレーしており、日本サッカー協会は、今回もその手順を踏み、AFCに対して書類を送っていた。ただし、その書類はブラジルフットサル連盟(CBFS)が発行したもの。今までは、この書類だけでよかったのだが、帰化選手に対しての規定を厳格化したAFCは、CBFSだけではなく、ブラジルサッカー連盟(CBF)からの証明書も必要だと、大会開幕直前になってJFAに通達してきたのだ。

その結果、大会開幕日までにイゴールの書類は間に合わず、初戦のモンゴル戦でプレーすることができなくなってしまったのだ。すでに日本代表としてプレーしている選手に対しての、まさかの大会登録不可の通達。

スタンドからモンゴル戦を見守ったイゴールは、チームのためにできることをやろうと、荷物運びなどの裏方の仕事を懸命にやっていた。そのイゴール自身も「僕はCBF(とどういう連絡を取れているのか)、全然、わからない。協会のスタッフから問い合わせてもらっていますが、書類の状況がどうなっているかは全然わかりません。今日、プレーすることができなくて残念です。ヨーロッパでの合宿とか、国内での親善試合しかやっていなかった。AFC主催の大会に出ていなかったのでダメだった」と、困惑を隠せない。

今後、イゴールの書類が届き次第、今大会にも出場できることになるが、おそらく過去に一度もサッカーを管轄しているCBFが、フットサル選手用の書類を即座につくれるとは考えられないため、今予選中の復帰は難しいのではないだろうか。

それでも、予選の最終日までチームに帯同することが決まっているイゴールは、次のアジア選手権出場を目指すチームの船出を見て「初めての試合としては、良い試合だったと思います。外から見ていると、少しみんな緊張しているのが感じられました。でも、ディフェンス、オフェンス、良い試合ができていて、チャンスも結構つくれていました。それを決めきれなかったけれど、問題はそれだけ。もっともっと良くなると思う。(言っていること、)わかりますか?」と、流ちょうな日本語で語ってくれた。

もはや取材が苦手な選手以上に、しっかりと日本語でコミュニケーションが取れるイゴールに、アジア全体のレベルアップについても聞いた。この日、健闘を見せたモンゴルも、簡単な相手ではなくなってきたと話を向けると、「試合の前にミーティングがあり、監督はビデオを見せてくれました。少しずつ相手のレベルは上がってきていて、アジアのいろいろな国はレベルが上がってきているのは、アジアのフットサルのために良いと思う。すべての国がもっと強くなるのが、良いことだと思う」と、その発展を前向きに語った。

もちろん、その中には日本も含まれる。そして、経験豊富なブラジル生まれの守護神は、きっと日本代表の復権にも大きな役割を果たしてくれるはずだ。「まだ今予選にも出場できる可能性はあります。明日(5日)か、明後日(6日)になるかはわかりませんが、チャンスはある。だから、最後までチームに残ります。プレーするか、しないか、わかりません。でも、プレーできないことが決まったら、しっかりチームを応援します」。日本を愛し、仮に日本代表選出が叶わなくても、日本人に帰化すると言い、実際に帰化した男に訪れた苦悩が、一日でも早く解決することを祈る。