インタビュー

【インタビュー】ヘスス・カンデラス「フットサルを大学スポーツに取り入れよ」(後編)

12月に来日を果たした、世界的名将のヘスス・カンデラス。FUTSAL Xは約1時間の独占インタビューを行った。前編では、指導者に向けたメッセージをお届けした。後編では、現在のフットサル界を彼自身がどのように捉えているのかを伺った。

いまのフットサルのエンジンはアジア

――壮大な質問をしますが、カンデラスさんはフットサルの未来を、どう捉えていますか?
カンデラス いま、私たちは、父親のスネをかじっている状態です。

――どういうことですか?
カンデラス サッカーのスネをかじっている状態ということです。これをどうにかしなければいけません。もちろんサッカーも、フットサルをうまく利用している部分があります。フットサルのように狭いスペースでトレーニングすることは、最終的に広いスペースでプレーするサッカーにつながったときに、非常に役に立ちます。サッカーが、フットサルを傘下に取り込んで若い選手の育成に利用しているというのは、非常に賢いやり方です。
この状況のどこに危険があるのかというと、子供のころのプロセスとしては、フットサルはとても重要だと認識され、利用してもらえます。ところが、その先、サッカーは全く違う道を歩くというメッセージにもなってしまいます。それがどこに出ているかというと……。

――なかなか決まらない2020年のフットサルW杯の開催国ですね。
カンデラス そうです。FIFAはW杯の開催国決定を1年延期しました。育成や選手をつくるところでは、フットサルはとても良いと認めていますが、その先はサッカーのことを考えるよと。そのFIFAの考え方がW杯の開催国決定に現れたのではないでしょうか。
こういうスポーツの旗振り役は、国家代表だと思います。国の代表が、どこで、どう次のW杯が行われるかが、丸4年隠されてしまうというのは、非常に重大な問題です。ですから、とても大切なのは、大学のフットサルにスポーツを取り入れることです。なぜなら大学は、経営者が学ぶ場所、生まれていく場所だからです。そこにフットサルというスポーツをしっかり導入することが、とても大切です。

――そこで学んだ人たちが卒業後、フットサルに投資する可能性があるからですか?
カンデラス その通りです。将来的にフットサルに投資してもらうために、あるいはその可能性を高めるためには、フットサルを大学スポーツに取り入れることが大切だと思います。オリンピックに入るかどうかという話もありますが、あれは状況的にどうなるかなんとも言えません。

――ブラジルで開催されたリオ五輪のときも、フットサルは五輪競技になりませんでした。
カンデラス 最初、アベランジェさんはOKと言っていたのですがね……。サッカーを失いたくない、FIFAとオリンピック委員会の双方の思惑もあったでしょう。そこはネゴシエーションのレベルの話だったと思います。フットサルを五輪に入れることで、FIFAは借りをつくりたくなくて、決まってしまったのではないでしょうか。それでもフランスは今後、フットサルをやっていきたいという気持ちがあるようですよ。

――フランスですか?
カンデラス  はい。2018年にアルゼンチンのブエノスアイレスでユースオリンピックが行われますよね。その大会ではサッカーではなく、フットサルが行われます。さらに、その次の2020年大会には、パリが立候補するという話を聞いています。そこでも引き続き、フットサルをやりたいという声があるようですが、それでフランスが盛り上がってくれたら、いいですよね。

――ユースオリンピックは18歳以下の大会ですが、そうした動きが将来的に、オリンピックにつながるといいですね。カンデラスさんは今後、どのようにフットサルに関わっていこうと考えているのですか?
カンデラス 常に関わっていきたいです。フットサルについて、いろいろなものを執筆したいとも思っています。何かしら貢献をする、ドナーとなるつもりでいます。

――以前、イランの監督もされていましたが、アジアのフットサルをどう見ていますか?
カンデラス イランにいたので、何が起きているかはわかっています。いまの中心になっている選手たち、15人くらいいますが、彼らは私がいたときのスタッフたちと一緒にトレーニングをしています。

――昨年のW杯では3位になりました。
カンデラス ブラジルにパワープレーで勝ったところにも、私たちの仕事の成果は出たと思っています。最初に私がイランに行ったとき、彼らにはパワープレーはありませんでした。

――アジアでは、彼らはパワープレーをほとんど必要としませんからね。
カンデラス ただ、その外に出るとやられますからね。イランを含めて、アジアは非常に盛り上がっていますし、世界中で最も投資されているのが、アジアのフットサルでしょう。いまのフットサルのエンジンとなっているのは、アジアの地域だと思っています。ただ、多くの監督がアジアに来ますが、そのすべてはクラブに行っています。ベースになる育成年代にそうした監督が入ってこないのは、一つ問題です。ゼゴという監督が、ベトナムに6年くらいいらっしゃいました。彼のような存在が必要です。彼がベトナムのフットサルの発展のすべての礎になったというくらいの人物です。クラブに行けば、チームが強くなることに貢献できるでしょう。でも、そのスポーツが強くなることに貢献することは、おそらくできません。スポーツという成功は、別にあるものです。

優秀なフットボーラーの育成に最適なスペースと人数は?

――クラブのトップチームにならオーナーが監督を雇うでしょう。しかし、その国の競技全体のことを考えて、育成年代の監督を雇うのにお金をかける人というのは、なかなか見つからなさそうですね。
カンデラス 難しいのは、そこの交渉力があり、事業性を持たせていく人材が少ないことです。私は、ヨハン・クライフ財団とつながりがあるのですが、そこはどのようにお金の流れを作っていくかということに優れています。もちろん『ヨハン・クライフ』という名前の影響もあるでしょう。注目すべきは、この団体が12歳以下はサッカーではなく、フットサルに投資しているんです。そうしたエネルギーをうまく活用していかないといけません。

――当然、そこはサッカー選手育成のために、フットサルに投資しているんですよね?
カンデラス はい。イギリス、フランス、オランダは、すべて12歳までフットサルをしっかりやるべきだという考えができてきています。ただ、そこには7人制の方がいいのではないかという議論もあるんです。7人制をするべきか、フットサルをするべきか。7人制だと、スペースがもう少し広いんです。ですから、7人制にどう人をつなげていくかを考えないといけなくなっています。

――日本も小学生年代は、8人制でやっています。
カンデラス どれくらいのスペースで、どれくらいの人数でプレーするかというのは、子供たちが問題解決が可能になるかどうかに、すごく影響が出ます。ですから、7人制だ、5人制だという戦いになりやすいんでしょうね。

――カンデラスさんは、どこが落としどころだと思っていますか?
カンデラス ふふふ(笑)。

――6人! とか言い出さないでくださいよ(笑)。
カンデラス ドイツにホルスト・バインさんという有名なメソッドを持つ方がいるのですが、それに対する答えは、彼が持っているでしょう。また、サッカーのスペイン代表監督を務めたルイス・アラゴネスさんは、ピッチにいる選手をFW以外は全員MFにしてしまうという改革をしました。彼らが出した答えは、最も育成上で大事なのは、20メートル×40メートルというスペースで、適切な人数でプレーすることでした。

――まさにフットサルのピッチサイズですね。
カンデラス ただ、もう一つ問題になるのは、ブラジルはもっと狭いスペースしか与えられていなかったりするのです。20メートル×40メートルのコートなんて、ブラジルにはほとんどありません。もっと狭い、18メートル×20数メートルでやっていたりします。そこでも成果が出ているのですから、そちらが適切なスペースであるという議論は、今も存在しています。
これがフットサルにとって、どんな問題があるかというと、アメリカではバスケットコートの中でフットサルもできるようにしようと言って、バスケットコートの中にゴールを置き始めているんです。こうした動きもあるので、将来的にはバスケットボールとの親和性、どうやって一緒に手を取りあっていくかも、非常に大切になるかもしれません。ちなみに、そのバスケットコートで行われるフットボールは、3対3+GKなんです。

――6人ではなくて、4人になっちゃいましたか(笑)。いつかまたFIFAがルールの整備に乗り出すかもしれませんね……。
カンデラス 本当ですよ(笑)。ドイツではハーレンフッスバルというものがあって、壁がある状態で、私たちと同じ5対5の試合をします。でも、ゴールはサッカーの大きさなんです。それもそれで(育成の手段としては)悪くない。インドはまた少し違うアプローチをしていますね。このように人数とスペースの問題というのは、結構、いろいろなところに危険が潜んでいるんです(笑)。ですから、どれが正解かというのは、なんとも言えません。

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【プロフィール】
ヘスス・カンデラス
国籍:スペイン 生年月日:1957年10月07日
資格: スペインフットサル指導者ライセンス・レベル3
[主な経歴]
2012 イラン代表スポーツディレクター
2009-2010 インテル・モビスター(スペイン)
1998-1999~2007-2008 インテルビュー・ブーメラン(スペイン)
1996-1997~1997-1998 カハ・セゴビア(スペイン)
[主なタイトル]
スペインリーグ優勝5回(2001-2002、2002-2003、2003-2004、2004-2005、2007-2008)
スペインカップ優勝6回(1988-1989、1997-1998、2000-2001、2003-2004、2004-2005、2006-2007)
スーパーカップ優勝5回(2001-2002、2002-2003、2003-2004、2005-2006、2007-2008)
インターコンチネンタルカップ優勝4回(2005、2006、2007、2008)
UEFAフットサルカップ優勝2回(2003-2004、2005-2006)
UEFAカップウィナーズカップ優勝1回(2007-2008)
[個人タイトル]
LNFS最優秀監督4回(1997-1998、2001-2002、2004-2005、2007-2008)
フットサルプラネット世界最優秀クラブチーム監督2回(2004、2008)

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