Fリーグ

【FリーグPO】森岡薫が先制弾に込めたプロの意地

[1.14 Fリーグプレーオフ準決勝 町田 3-2 湘南 駒沢屋内]
試合前、ウォーミングアップをしながら湘南ベルマーレのFP植松晃都は、横目で対戦相手の動きを見ていた。「アップでも全然、右足を使っていなかった」。この日の対戦相手であるペスカドーラ町田のエースの右足には痛々しく包帯が巻かれていた。アップ中も、右足を振り抜いてシュートを放つことは、皆無に近かった。

ところが――。

キックオフから43秒、町田の99番・森岡薫は右足を振り抜き、強烈なシュートを湘南のゴールに叩き込んだ。

この一撃には湘南の奥村敬人監督も、「アップで、ほとんど右足でシュートを打てなかった森岡選手に一発、スコンと決められた。あそこを見ても、この試合に懸ける思いで上回られたのかなという気がします」と、脱帽するよりなかった。

プレーオフ1回戦では第2PKをはじめ、ほとんどのセットプレーでもキッカーを務めなかった。右足の状態が思わしくないことは、その後にシュートを打った直後、顔をしかめて自らベンチへ退いたことからも明らかだ。

本来、負傷を抱える選手が、無理を押してプレーを続けることは、単なる美談として片づけられるべきことではない。

しかし、これは森岡のプロ選手としての意地なのだろう。

「昨日の試合もそうですが、今日もシュートを打つことに怖さがありました」

自身の足の状態について、こう語った森岡は、それでも躊躇なく右足を振り抜いた理由を、淡々と説明する。

「決勝に行きたいという気持ち、そしてこの会場の雰囲気ですね。チケットを購入してきてくれた人たちはみんな、怪我をしている選手を見に来たわけではありません。怪我を感じさせたくない気持ちもありました。本当に毎回のことですけど、毎試合、毎試合、『次の試合に出られなくてもいい』という気持ちで試合をしているつもりなので。正直、今、自分が抱えている怪我のことも考えることなく、振り切ってやろうと考えていました。何度かそういったシーンもありましたが、自分が得意としている形なので、決まってよかったと、ホッとしました」

開始直後のこの先制点は、堅守を誇る町田にとって大きな自信となり、同時に湘南は描いていたプランの修正が迫られた。

「勝たなければいけなかったので、チームで「主導権を握りにいこう。じゃあ主導権を握るためにはどうすればいい? 先取点だ」と話していたんです。それが先に取られて、出鼻をくじかれる形になり、しかも決めたのが薫さんだったので、町田ものったと思うんですよね。あれを止めたかったですね」と、FP内村俊太は早い時間帯での失点を悔やむ。40分間で1得点にとどまった湘南に与えたダメージは、計り知れない一撃となった。

森岡擁する町田は、昨季に続き、プレーオフ・ファイナルに勝ち進んだ。名古屋時代から、すべてのプレーオフ・ファイナルを経験している森岡は、湘南との一戦を終えて、「リーグ戦とプレーオフは別物だなと、今回すごく感じました」と、リーグ戦で名古屋に勝ち越していることが、何の意味も持たないことを強調する。

また、今年対戦する相手が9連覇を達成した自身の古巣であるが「相手に対して特別な思いはないです。単純に決勝戦に勝ちたいという思いしかない」と言い切った。

過去に誰よりも多くのタイトルを獲得してきたリーグの顔は、やや控えめに2年ぶりのリーグ制覇への自信を滲ませた。

「今いるクラブ(町田)は、そろそろ優勝してもおかしくないかなと感じているので、できれば優勝したいです」

以下、試合後の記者会見での森岡薫のコメント

■森岡薫
――試合の総括をお願いします。
森岡 お疲れ様です。2日間、こういった試合は、ものすごく厳しい試合になるとわかっていました。どうしても決勝の舞台に立ちたいという気持ちが、今日の結果につながったと思います。一つ感じたことですが、普段のリーグ戦から今日のような会場の雰囲気でやれていれば、もっとリーグのレベルは上がっていくのかなというふうに感じました。点差を2-0にして、さらにリードを広げることができていてもおかしくない試合をやっていましたが、ああいう雰囲気の中でやると、向こうも負けられないし、こっちも絶対に追いつかれたくない。そういう雰囲気をつくってくれたサポーターの方がいて、これだけ盛り上がった試合になったと思います。そういう意味では、プレーオフだけではなく、決勝戦だけではなく、できれば普段のリーグ戦から、どんなカードであっても地元のサポーターが盛り上げていくことでリーグのレベルも、フットサルという競技も、盛り上がっていくのかなと感じました。

――今日のようにブーイングを浴びるのは好きなのではありませんか?
森岡 あの……ブーイングが好きな人はいないと思うんですけど……(苦笑)。もちろん、ブーイングを受けることで、『見返してやろう』という気持ちになりますし、『どうだ?』っていう気持ちにもなります。でも、やっぱり海外と違って日本は、相手をリスペクトするという素晴らしい文化の中でやらせてもらっているのはあると思うので、ピッチの中で起きたすべてのことは外に持っていかないですし、乱闘が起こることもありません。そういう意味では、みんな少しは演じているのかなとは思います。少し、審判に言ってみたりとか、相手に言ってみたりとか。でも、試合が終わったら、みんな握手していますし、しゃべっています。そういう意味では、面白くしている部分はあると思います。相手が嫌いとか、お互いが嫌いとか、クラシコと呼ばれる試合だからという因縁も何もないです。ただ単に、雰囲気がそうさせるという意味では、僕たちがこの雰囲気の中で試合をするのは、代表に行っても、海外に行っても、こういう雰囲気であったり、海外ではもっとひどいところはひどいので、それに慣れるには良い機会だったと思います。本当に、両チームのサポーターには素晴らしい舞台をつくっていただきましたし、選手としては、それなりの試合を見せないといけないというのは思います。でも、ブーイングは好きじゃないです(笑)。

関連記事

  1. 【Fリーグ】5戦無敗の府中は4連敗中の大分と2-2で分け、勝ち点…
  2. 【Fリーグ】ブラジル帰りの鍛代は復帰初戦で1ゴール(6枚)
  3. 【選手権】すみだが今季4度目の東京ダービーで町田に勝利、ベスト4…
  4. 【PH】第32節 名古屋オーシャンズvsデウソン神戸(36枚)
  5. 【U-19日本代表】名古屋サテライト戦 背番号17 FP中村充(…
  6. 【Fリーグ】北海道FP水上玄太がFリーグ4人目の通算200ゴール…
  7. 【Fリーグ】清水和也4ゴールに、稲葉洸太郎の復帰弾! すみだが浦…
  8. 【Fリーグ】町田対府中を観戦したブルーノ・ガルシア監督「若手が出…

日本代表

Fリーグ

海外

女子

Twitter でフォロー

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。