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【AFC女子選手権2018】木暮賢一郎監督メンバー選出記者会見《前編》 メンバー選考について「良い選手、本当に能力の高い選手だけが14名集まることが良いとは思いません」

日本サッカー協会は16日、5月2日から12日にかけてタイのバンコクで開催される第2回AFCフットサル選手権タイ2018のフットサル女子日本代表メンバーの14名を発表した。会見に臨んだ木暮賢一郎監督にとっては、日本代表を率いてAFCの大会に出場するのは、今回が初めてのこととなる。約50分に及んだ記者会見と囲み取材の様子をテーマ別に前編と後編に分けてお届けする。

前編では、会見の冒頭の挨拶と、選手たちの選考基準について。どういった選手たちを選んだのか。アルコイリス神戸から最多4選手が選ばれた理由、選手権を制して女子Fリーグのプレーオフにも進出した丸岡ラックからの選出がなかった理由についてなどを語っている。

 

以下、記者会見での木暮賢一郎監督のコメント
木暮 みなさん、こんにちは。お忙しい中、集まっていただきありがたく思っています。自分自身、(女子代表監督に)就任してから約3カ月の間、このAFC2018の大会で優勝するという目標に向かって、どういうメンバーを選考するかに費やしました。過去の映像であったり、行われている大会であったり、練習を見に行ったり、タレントキャラバンという形で直に女子選手たちに触れたり、若い世代ではありますがトリムカップという大会に出場して、女子の実際のゲーム現場での肌感覚を体感しました。そして非常にたくさんの選手の中から、25名のラージリストを選びました。
女子のフットサルはアマチュアであるという背景もあり、(代表招集に)都合がつかない選手、ケガをした選手もいました。25名のリストをつくってから、みなさまのお手元にあるメンバーリストにある14名のベストメンバーを無事に選び、発表することができて、まずひとつよかったなと思います。
ここから先は、最初に言ったようにアジアチャンピオンになるという強い意志を持ち、この選んだ14名、スタッフを含めて全員で力を合わせて、目標を達成するために、キャンプからしっかりやっていきたいなと思っています。どういうフットサルをやるかなどは、質問してもらえれば、お答えします。なかなかこういう機会はないと思いますので、女子のフットサル、日本のフットサル界ということを含めて、答えられる範囲では答えたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以下、囲み取材を含めた質疑応答でのコメント
――アマチュアで都合がつかない選手がいたというのは、仕事のためですか?
木暮 そうですね。そういうこともありました。ただ、大事なことは、ここにいるメンバーがベストメンバーだと思っていますし、結果を出すことで女子フットサル界の環境、認知が広まっていくチャンスだと僕は思っています。そこは決してネガティブに捉えるのではなく、そうした現在の環境を踏まえないといけません。日本の女子代表は2013年にタイトルを獲ってから、アジアの中ではタイトルから遠ざかっています。そういう意味でも、2018年の大会では、何がなんでも優勝して、女子フットサル界の風向きを変えられるチャンスにしたいなと思っています。

――監督が目指すフットサルを体現する選手を選んだということですが、より具体的にどういう選考基準で選ばれたのでしょうか。
木暮 メンタル的な考え方、選手、そしてフットサルのプレーモデルは、過去、現在、未来とつながっていくものです。そういう意味で今大会は、現在から未来につながっていく女子フットサル界にとってすごく大事なチャレンジだと思っています。過去に女子フットサル代表には良い時代がありましたし、今は女子Fリーグが2年目を迎えます。恵まれない中でも良くなっている。この過程というのは、過去に自分が男子のフットサルで経験してきた発展している途中に似ていると思っています。
まず、過去にアジアのタイトルを獲ったことがある経験は大事だと考えました。世代が違っても、そのときの監督や選手は女子フットサル界が恵まれていない中で、一丸となって『アジアのチャンピオンになる』という強い思いを持ち、覚悟をもって成し遂げたと思っています。そんなに簡単にチャンピオンになれるほど、甘くはありません。そこは僕も知りませんから、そういう(日本女子がアジアの頂点に立った)時代を知る選手は必要だろうなと思いました。
次に、ここ数年のスパンの中で良いパフォーマンスをしていて、今もクラブで良いパフォーマンスをしている選手たち。(代表では)この数年は悔しいことが多かったと思います。過去に(女子日本代表が)チャンピオンになって何連覇もしていた時代から、何度もタイトルを逃している。その悔しい中でも良いパフォーマンスをしている、年齢的にも一番良い世代の選手たちです。
そして3つ目が、ユースオリンピックには当然選べませんが、若い年代の選手たちです。進化をしていかないといけない中で最初の大会です。さらに良いフットサルを見せるというゴールには、この2018年の数日間のトレーニングだけで、完全なる完成度を出すことは非常に難しいと思っています。ただ、2020年にもAFCがあります。その間にも国際大会があるかもしれません。それ(国際大会があるか)は誰にもわかりませんが、世界レベルというのは当然、意識しないといけないと思っています。そういう未来につながるグループです。
そういう3つ(過去に優勝経験のある選手、現在旬の選手、未来につながる選手)のグループを、キャラクター、グループのプロファイルとして見ている背景があります。
その中で圧倒的に足りないのは、ピヴォの選手です。各リーグを見ても、過去の映像を見ても、ピヴォを使った攻撃という、いわゆるフットサルの基礎の基礎。そういったものを体現しているチームが非常に少ないことが特徴としてあるのかなと思います。その理由については、僕はまだ(女子のチームを)率いていないので、わかりません。もしかしたら良いピヴォの選手が少ないのかもしれません。(男子と)ピッチサイズが一緒なので、女子の選手が出せるパスの飛距離に問題があって、(女子のフットサルは)ピヴォを使うことに適していないのかもしれません。多くの関係者がそれをわかったうえでピヴォを置いていないのか、そこは自分には正直、わからないです。
ただ、フットサルはフットサルだと思っています。(代表監督の仕事を)引き受けたときも、男子だから、女子だからということではなく、フットサルというスポーツの中で、まず話を引き受けました。その意味では足りないパーツで言うと、ピヴォの選手が少ないと感じていたので、そこに関しては積極的に見て回ったつもりですし、その中からピヴォの選手を選んでいます。それは、タレントキャラバンの活動でもはっきり伝えています。
あとは走れるということだけではなく、高い競争力をもって国際舞台で戦えるだけのフィジカルをプロファイルとして持っているか。「フィジカル」という一言が適しているとは思いませんが、しっかり走れるか、強いボールが蹴れるか、球際でしっかり戦えるか。そういうところは一人ひとりしっかり見ました。その点で個人の持っているタレント、プロファイルがアジアの大会に出たときに、1対1のところでしっかりイニシアチブを取れるだろう、イニシアチブを取れるに値するプレーを、国内で見せてくれているところも一つの基準です。
それに対して、プレーモデルの習得が早いか遅いかは、自分の責任だと思っています。男子でもそうですが、理解力が高く、言ったことをすぐにできる選手がいれば、時間がかかる選手もいます。14人いれば、14通りのスピード感があるでしょうが、プレーモデルの習得を1秒でも引き上げるのは、監督の仕事だと思っています。そこに関しては特に心配はしていません。
あとはゴールを奪うことがチームの特徴という話をしていますので、ゴールを取れるだろうプロファイルを持っているか。また勝者のメンタリティというか、勝つことを知っている選手が多いグループは、強いと思います。ですから直近の大会でチャンピオンになっている選手が多いかどうかも、選考するうえでは考慮しました。また、若い選手にもそういったものを植え付けていく。言い方はきついかもしれませんが、そういったグループづくりは大事だと思っています。そういったものを背景に、選考させていただきました。

――25名のラージリストから14名に絞る際、11人を削る作業は難しかったと思いますが、絞り込んだ選考基準を教えてください。
木暮 個のポテンシャルの高さと実際にメンバーを組んで大会を勝ち抜くことを考えると、似たようなタイプの選手であれば優先順位が付くと思います。
また全体像で言えば、ピヴォがうまく機能しなければ、そうではない策を取らないといけません。そのときにどういうタイプの選手が必要か。14名を登録できるレギュレーションで、フィールドプレーヤーを12名にしていますから3セットで回すなら、どういう3セットの組み合わせがいいのか。
また、例えばアルコイリス神戸の選手は、素晴らしいシーズンを過ごしたと思います。女子Fリーグと選抜でもタイトルを獲っています。通常の同一チームでやっているアドバンテージは生かしたい。全試合、すべてそれで戦うかといえば、そうではありませんが、何かうまくいかなかったときに立ち帰る場所としては、一緒に練習していることは強みになります。一つのクラブでプレーしている3人の中に、別チームの誰かが入って適応するか、しないか。それに関しては数多くのシミュレーションをしました。
それは男子でも同じで、2012年のW杯でもブラジル代表が一番積極的に使っていたやり方です。彼らはスペインのインテルで戦っている3人と1人の国内組の選手。エルポソで戦っている3人に対して1人の国内組の選手。そして国内組だけのセットというように、選手を組み合わせていました。代表で戦う上では、活動できる時間の少なさという問題があります。それをプラスに変える方法としては、クラブでのスタイルを使う。もちろん、それをそのままやってくれということではなく、日本代表としてのプレーモデルをやるのですが、日常で一緒にトレーニングしていることは大きい。そこを考慮したか、していないかでいえば、考慮しています。
ただ、いろいろなシミュレーションはしていて、そこにポテンシャルのある選手がいればどうだとか、先ほど言った過去を知る選手は今大会に関しては非常に重要だという認識を持っています。強かった時代、時期を知っている選手の持つピッチ内だけではなく、ピッチ外での有効性。代表チームはそういうことも必要であり、良い選手、本当に能力の高い選手だけが14名集まることが良いとは思いません。当然、能力の低い選手は入れませんが、こちらが要求する役割を体現できることが必要です。その役割をどこに求めるか。ピッチ内外、セット間、あるプレーモデルやシステムがうまくいかないときにどうするか。パワープレーを行ったときにどうするか。
女子フットサルでは、パワープレーをやっているチームの方が少ない。前回のインドア・ゲームズでも日本代表はパワープレーがうまくいかずに負けていますが、パワープレーに必要なのは「慣れ」です。「慣れ」というのは1週間、練習したから慣れるわけではありません。しっかりとしたコンペティションの中で成功も失敗を含めて経験があるか。その意味では、(トリムカップで)東京都選抜が見せた0-3から3-3に追いついたパワープレーの経験値は、選考するうえでポイントになりました。逆に関西のチームはパワープレーを行わずに、自力でひっくり返すスタイルです。それは良い、悪いではなく、そういうチームもあります。パワープレーを一つとっても、実際にAFCでパワープレーをすることになったとき、そのために必要な経験値を持っている選手と経験はなくても個のポテンシャルとして必要な選手もいます。やったことがない選手に落とし込むのは、自分の仕事だと思っています。ただ、そういうところでのメンバーのシミュレーションを含めて、本当に様々な角度から選考をしました。
今回の14人の中に左利きの選手は一人しかいませんが、ラージリストには数多くの左利きの選手を入れています。左利きの有効性というのは重要になりますし、男子女子問わずに「左利きの選手を」というのは、(男子日本代表の)ブルーノ・ガルシア監督とも一致しています。対戦相手や他国を分析すること以上に、僕は自国の研究から始めました。そうしたことを踏まえて、バランスを見て選んだのがこの14名だと思っていただけたら。

――日本リーグ、地域チャンピオンズリーグ、全日本選手権などで結果が出ているチームからの選出が多くなっていますが、それが選ぶときの基準ではなかったのですか?
木暮 優先順位として、同じチームから選ぼうということではありません。ただ、誰と誰のコンビネーションが良いかとか、そういうことは当然、見ている観点の一つの項目としてはあります。良いシーズンを過ごした選手が誰か、チームがどこかは、結果として出ています。大きな大会で言えば、トリムカップの選抜チームと地域チャンピオンズリーグと女子Fリーグ。その3つで優勝したのは、すべて兵庫県のチームです。それは紛れもない事実ですから。勝たないといけないときに勝ったという経験を、彼女たちが一番しています。それは男子で名古屋オーシャンズの選手が複数選ばれて、皆さんが何も疑問を持たないのと一緒です。一番強いチーム、一番練習しているチーム、一番タイトルを獲っているチームということで違和感がないのと一緒で、(地域チャンピオンズリーグ優勝の)SWHレディースと(日本女子Fリーグ優勝の)アルコイリス神戸。その2チームが合わさった兵庫県選抜が、今シーズンに関しては、すごく良いシーズンを過ごしたんだろうなというのは一つ見ているところではあります。ちなみに平均年齢はフィールドプレーヤーが25.9歳で、ゴレイラを入れると26.5歳になります。

――今回、全日本選手権で優勝した丸岡ラックからの選出がゼロでしたが、その理由を教えてください。
木暮 高尾茜利に関しては、負傷です。トリムカップで受傷して、25人のラージリストをつくるときは、まだ走ってもいない状況でした。治る、治らないの速度感はドクターとも何度も協議をしましたし、(予備登録の)25名から外してしまうと、もし間に合ったときに最終メンバーに入れることもできません。回復のスピード感がギリギリだったので(25人の中には)入れていました。ただ、先週末に行われた施設選手権でも、まだプレーはしていませんでした。
25日から始まる代表活動で短いスパンで戦うにあたって、やはり各個人のフィジカルコンディションは非常に重要になります。25名のラージリストを決めた時点で、「25日に集まるまでに、可能な範囲でこういうトレーニングをしてほしい」という練習メニューを下地フィジカルコーチと組み、候補選手たちに配信していました。
アマチュアなので、できる、できないは別にしても、可能な限り与えたメニューをこなしてもらい、一人ひとりが少しでも良い状態で合宿に入って来てもらうことが、アジアチャンピオンになるうえでは必要不可欠です。厳しいメニューを選手たちに配信していましたが、そのコンディションという基準から見たときに(高尾はその練習もできない状態だったため)自分の決断として現状でベストな14名を選びました。
北川夏奈に関しては25名にも入っていません。アマチュア競技ですので単純に良いプレーができているか、できていないかということだけではなく、考慮しないといけない事情があります(※学業や仕事の問題)。そういった点で、25名にも入っていません。
ただ、丸岡に関しては良いプレーをしていることを継続的に見ていますし、この先にあるユースオリンピックに向けては、非常に多くの選手がリストアップされている状況です。しっかりと見ているチームではありますが、今回のA代表に関しては、そういうこともあって入っていません。

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――アルコイリス神戸の江口未珂選手は、日本リーグで得点女王になりました。彼女が攻撃の中心になりますか?
木暮 誰が中心かというのは、今の時点ではまったくありません。なぜかというと、このメンバーを選びましたが、実際にトレーニングをした回数はゼロ回です。このメンバーでの最初のトレーニングは25日になります。当然、選考するにあたっては、各選手の特徴であるとか、自分が目指すフットサルにおいて、どういった役割をこちらから求めるかを考えています。クラブで発揮している彼女たちのポテンシャルを引き出すこともありますが、今の時点でこの選手が軸でとか、この選手がいなければというチームづくりではなく、まずは日本代表が目指すスタイルを落とし込むことです。今準備しているプレーモデルを経験していることがある選手は、ほぼいないと思います。女子のフットサル界は、もともと指導者が数多く存在している状態ではありません。選手兼監督であるとか、選手がイニシアチブをとってトレーニングを行っているチームもたくさんあります。そういう意味では誰が中心というよりも、まずは日本代表が目指すプレーモデルを1秒でも早く習得してもらう。そして、それをスムーズにAFCで発揮することが大事だと思っています。ですから誰が軸というのは、現状では自分の中にはありません。

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