アジア選手権

【AFC女子選手権】2大会連続で準優勝に終わった女子日本代表 木暮賢一郎監督「この悔しさを忘れることなく、日常から努力していく」

[5.12 AFC女子アジア選手権タイ2018決勝 日本女子 2-5 イラン女子 フアマーク]
フットサル女子日本代表は、初優勝を目指してAFC女子アジア選手権タイ2018の決勝を戦ったが、前回大会に続き、イランに敗れて準優勝に終わった。

今大会からチームを率い、様々な面で日本代表の強化に務めた木暮賢一郎監督は、今後の日本女子フットサル界に求められることについて語っている。

以下、イラン戦後の木暮賢一郎監督のコメント
――試合の感想を聞かせてください。
木暮 前半、非常に良いフットサルをしたと思っています。決めるところで決められなかった。そこに尽きるかなと思います。でも、選手たちは非常に短い準備期間の中、そしてイランより1試合多い。そういう状況の中、最後まで全力を尽くしてくれたと思いますし、そういう取り組みはチャンピオンとして、選手たちを称えたいなと思っています。

――日本は確かに前半にチャンスがありました。後半に何が変わったのでしょうか?
木暮 こういうハイレベルな大会が、まだ日本の女子のフットサル界の日常にはありません。一つの良いシュート、一つのパス、一つのミス、そういうところで何か印象が変わってしまうような、プロであれば、それが日常にあると思います。しかし残念ながら、そういうコンペティションの日常がありません。それが代表チームとしての活動のコンペティションというところも一緒だと思います。そういうところが、こういったハイレベルな決勝という舞台で出てしまったのかなと。ただ、そういったものを努力して超えていくことが必要だと思っています。よりリアルなトレーニングであるというところから改善していきたいと思います。

――準備期間が短かったり、世界レベルの相手と戦う機会がなかなか少ないと思います。その環境をどう変えていきたいですか?
木暮 最初のミーティングで、「もちろん準備期間は短いけれど、それを言い訳にせずにベストを尽くそう」という話をしました。そういう意味では、チャンピオンになるぎりぎりまで行けたというところで、まず一つ選手の事を称えたい。ただ、レベルを上げていくとなると、国際試合とか、合宿の回数、そういうものが必要か、必要ではないかと言われれば間違いなく必要だと思います。ただ、そこはこういうチャンスをモノにしたり、こういう大会の結果、パフォーマンスで少しずつ変わっていくことでしょうし、変えていく努力をしてきました。このまま、うまくユースオリンピックに出られたりとか、わずかな活動の中でも良いフットサルをして認めてもらえるようにする。そういうことを信じて努力していく以外ないと思います。男子の日本のフットサルも、10年以上前は同じような道のりを歩んでいたと思います。自分にとっては一度経験しているプロセスだと思っています。今度は女子の代表監督として、男子が歩んだプロセスをたどっていけば、次の2020年大会は、必ずチャンピオンになれると思いますし、今日からそこに向けて、スタートしていく気持ちです。

――ユースオリンピックに向けて、どのようなプランをお持ちですか?
木暮 まず出られることが決まることが先決ですが、準備は初めていて、ラージリストはできています。最大の準備はしたいと思っています。

――今回、女子代表を初めて指揮をして、日本とイランの差は、どこに感じましたか?
木暮 かつての男子と一緒だと思います。選手にも話しましたが、自分が初めて対戦した2001年、2002年は大差で負けていました。今日のような、決勝で負けるような光景も何度も見て、悔しくて、『次こそはイランに勝ちたい』『次は自分たちだ』ということを思い続けてトレーニングをした集団が数年かけて、イランを超える瞬間を迎えました。そういう経験を自分自身していますし、間違いなく同じ道だと思います。2015年、そして今年と2回連続して決勝で負けている。そのイランという国に追いつくために、各選手が本当に努力をしていかないといけないと思います。この悔しさを忘れることなく、日常から努力していく。そこに対して自分ができることは最大限やって、次は必ず優勝できるように。そういう意味で全く同じかなと。だから、必ず勝てると思っています。

――足りないものがいっぱいあるということですが、女子はどうしても男子と異なり制限されることがあります。その中で代表監督として、何を一番求めたいですか? 海外遠征、リーグの充実、合宿の回数を増やすなどあると思いますが…。
木暮 もちろん全部ですけど、さっき選手に言ったのは、日常のクラブに監督がいないようなチームもいますし、練習量もバラバラです。そういう意味で、すぐに変えられるものは、今回来た14人の選手がこの合宿中、大会中に学んだこと、感じたこと、できたこと、できなかったことを努力する。またそれだけではなく、各チームのチームメイトに代表はこうだった。こういうことが起きて勝ってきた。こういうことが起きてしまって負けてしまった。そういうことを伝えていく。日本で待っている多くの選手が、この14名から良い影響を受けて、「私たちももっとやらないといけない」「代表に入りたい」そういうサイクルを作り出す以外に、今、現実的にすんなりと変えられることはないと思います。

――失点する経験はここまで積めませんでした。それが大きく響いたように見えますが、立て続けの4失点はどう感じていますか?
木暮 起きるか起きないかでいえば、起きる可能性があることは選手にも話していました。ハーフタイムにも、「0-0で自分たちのチャンスが多い。それでも先に取られることもあるし、そこで崩れてはいけない」とか、「連続失点はいけない」とか、そういうことは伝えていました。2点目の当たって入るところも、イランが狙っていることは映像で何回も見せていました。そういう相手のメリットがあっての失点というよりは、自分たちがプレゼントしてしまった。それをどう止めるかは、そういう日常をどれだけ経験しているかしかありません。トレーニングではできない、追及しきれない部分であると思いますし、プロであれば、そういう決定的なミスを犯していれば、試合に出られなくなるとか、チームがなくなるとか、それがどの競技でもあるはずです。だからこそ選手はミスをしないだけではなく、常に高いパフォーマンスが求められる。でも、今の女子の現状で言えば、そこをクラブで求められるかといえば、求めていないでしょう。実力があってもトレーニングの回数が少なかったり、中心選手がミスをしても、勝つためには出ざるを得ない。これはFリーグの男子でも見られることだと思います。だから多くを求めるのは酷でしょうが、少しずつでも、やれることはこういったものを伝えていく。起きないようにする。理想は国内でもっと激しいリーグができて、一つのミスによりこだわって、そういう評価をされて、代表の試合があって、海外遠征があって、勝ち、負け、成功や失敗の体験をしながら、本来は成長していくものだと思います。本当にいきなり多くを求めるのは酷だと思いますし、逆にこの決勝まで、そういった大きなミスがなく、高いレベルでやり続けることができたのは素晴らしいと思います。たら、れば、ですが、勝ってきたことでリアルに経験できなかったことが、最後の最後に出てしまった。これも自分自身経験していますし、観てきています。男子のA代表のイラン戦も近い現象が起きています。前半に攻め込んでチャンスもあって、残り何秒で失点して、後半の立ち上がりにも決められました。それは男子でも起きていることなので、いきなり劇的に、そうしたことが変わることは難しいと思います。でも2015年、今回とイランと決勝で戦い、多くのチャンスをつくりながら決めきることができずに負けている。この2つの大会の結果、内容は示していると思います。そこを本気で変えていく努力が、僕らコーチングスタッフ、そしてこの14名プラスここを目指したいと思う選手、各クラブのコーチングスタッフには求められます。本当に本気でイランに勝ちたい、アジアのタイトルを獲りたいということに、全員がコミットしているかわからない状況です。男子も同じようでしたが、少しずつそういう仲間が増えて、イランに勝ちたい、なんとしてもアジアチャンピオンになりたい、なんとか日本のフットサルを変えたいと思う選手、クラブが増えてきて成長してきたと思います。女子もyoutubeで見ている選手、指導者がいると思いますが、そういう方たちが「負けちゃった」とか、「なんでそこでミスをするの?」とか思うかもしれませんが、それはここに来ないとわからないことであったり、本気で目指そうとするから、理解できることであったり、そもそもそこを目指していなければ、「ああ、ミスした」だけで終わるかもしれません。そういう意味では日本の女子フットサル界全体が同じ目標をもっていく。なんとしてもアジアでチャンピオンになりたいという選手がもっと増え、そういう選手を育てたいというクラブが増え、そういう選手とクラブの切磋琢磨が起きて、そのグループが大きくなっていく。そこに代表活動の中での競争がある。そのサイクルを作り出すことが大事です。道のりは大変かもしれませんが、間違いなく正しい道は歩んでいると思います。

――逆にこの期間でできることが増えました。ポテンシャルはありますよね。
木暮 日常で取り組んでいるフットサルの特性に、各クラブ、選手によって、ばらつきがあるのは事実だと思います。代表チームはまず各クラブがあってこそだと思いますし、そこでの中身が代表には反映されます。自分がこれからできることは、各クラブを回ってとか、リーグを見てとか、多くの指導者と触れ合って勝負の厳しさ、イランに勝つために何が必要かをしつこいくらいアプローチして、みんなで2年後に向かっていく。あとはユースオリンピックに本当に出られることになれば、若い10代の選手たちが経験を積めています。アジア以外は出場国も決まっています。アルゼンチンも出る、ブラジルも出る、スペインも出る、ポルトガルも出る。そういう国との試合を今の高校生が経験できるのは、現状の女子代表の活動回数などを考えれば、すごく価値がある経験だと思っています。出場条件は2位になることで達成できたので、そこに本当に行けることになれば、良い機会になるでしょう。女子代表の今後の活動がどれくらいできるかわかりませんが、言い訳にせず、なんとか日常を変えていくという想いでやっていく。そういう話はここに来た14人に話していますし、試合後にも話しました。まず彼女たちが変わっていく。彼女たちから経験を伝えてもらっていく。地味かもしれませんが、そういうことをやり続けることが必要です。もちろん今日勝って、劇的に何かを変えていくことを目指していましたが、イランはチャンピオンに値する努力、活動をしています。それは彼女たちの側面からすれば、プライド、かけてきた時間、お金はあるでしょう。そこのやり合いですから。工夫して、次の大会では絶対に勝てるようにしたいと思っています。中国であったり、強化している国は事実ありますので、イランだけを見るのではなくてこのチャンピオンになれるように準備したいと思います。

――ユースオリンピックは、どういう選手を集めていくのですか?
木暮 ラージリストに関しては、JOCに出しています。出場権利を取る前から、ラージリストを出してくれという締め切りがあったので。それは規定に従ってやりました。限られた中で映像を見たりして出しました。

――日本リーグに出ている若い選手やトリムカップの選手が中心でしょうか?
木暮 そうですね。年齢制限がありますから、現状でフットサルのリーグに出ている選手。女子Fリーグであろうが、地域リーグであろうが、対象年齢の選手たちで、出ている選手をチェックしています。あとはこの前のトリムを経験している選手がベースになるかなと。見ていない選手を入れることはしていません。

――各チームの指導者にお願いしたいことはありますか?
木暮 フィジカルという一言ではなくて、そのケガであったり、代表のこういう大会に来たら強度の高いトレーニング、そしてハードなスケジュールをやっていかないといけません。今回も中1日で練習して試合もしています。そこに耐えられるベースづくり。今回も事前に25名の選手にフィジカルコーチから、メニューを送って進めてきましたが、あくまで自己申告です。チェックをしきれているわけではありません。たとえば、昨年Fリーグチャンピオンになったアルコイリス神戸は週に2回しかトレーニングしていません。そこは選手、クラブによってまちまちです。戦術的なものは個のみですから、別に日本代表がやっているとか、自分が用いているものをまねしてくれとは思いません。それは代表に来たらその中で取り組み、再現性を出していくのが自分の仕事です。別に日本代表と同じことをやってほしいとか、これが正解ですということではない。シンプルに例えばパワープレーの守備も攻撃も当たり前に行われる。なぜなら、やったことのない選手が多かったら、ゼロベースじゃないですか。だから、システムは別として、パワープレーはこういうものだ、守備はこう、オフェンスはこうだ。セットプレーはこうだ、体の向きはこうだ。そういうところをやっていく。チームとしてのガイドライン、セットプレーを覚えないといけないとか、戦術的なことをただ好きにやるのではないと。そういうことも、ままならない部分があるので、少しずつきっちり監督がクラブのプレーモデル、やり方を徹底してできる。そういうものを吸収し、体現しようとする。その個人の能力の向上とコレクティブなチームスポーツとしてのフットサルを指導者が理解して、やっていく。いろいろなシステム、いろいろな相手に対応できる選手が増えていけば、必然的に強い日本代表のベースは、各クラブがあるパートに関しては握っていると思います。僕が毎日何かを教えられるわけではありませんから。タイ代表のように毎日、日本代表として2カ月、3カ月、クラブチームみたいに活動できる現実はありません。視察に行ったり、タレントキャラバンであったり、情報交換はできると思いますが、プレーの精度を上げる、インテンシティを上げる、フィジカル的に向上していく。そこは各クラブの努力というところも、当然、必要なことです。そういうことをアプローチはどんどんしていきますが、指導者の方もアジアで勝ちたい、勝つ。そこに行ける選手を育てたい、そういうクラブにしていきたい。女子のFリーグに出ている選手たちの目標は、そこに向いているという方向付けは必要なのかなと。なんとなくやるのではなく、より具体的なものを共有できるように。

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