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【Fリーグ】集客数は平均値の4倍以上! なぜデウソン神戸はJリーグ→Fリーグのハシゴ観戦を実現できたのか

創設から11シーズン目を迎えたFリーグは集客に苦戦している。そんな中、デウソン神戸が、Jリーグのヴィッセル神戸と組んだ「ハシゴ観戦DAY」を行った。平均観客動員数がリーグ最下位で、平均集客数が400人台というデウソン神戸だが、この日は普段の4倍以上にあたる1,800人を超える集客に成功した。他の競技と比べると、大した数字ではないかもしれない。それでも、閉鎖的になりがちなフットサル界にとっては重要な一歩だった。なぜ、過去11年にわたって実施できなかった企画ができたのか。このイベントのキーマンとなったデウソン神戸の広報スタッフのヒロキさんに、イベント実現までの話をうかがった。

「断られてもダメ元」でヴィッセル神戸に提案

――今回のイベントは、いつ頃から構想されていたのでしょうか?
ヒロキ 今シーズンのスケジュールが決まった際に、デウソン神戸が主管するAbemaTVシリーズとヴィッセル神戸さんの2017シーズンのホーム最終試合の日程が同じだった事から、『このタイミングで絶対に合同企画として「ハシゴ観戦DAY」をやりたい』と考えました。ですからシーズンが始まった段階では、完全に自分の頭の中だけにしかない構想でした。

――前例もない企画を、どうしてやろうと思い立ったのですか?
ヒロキ 前例のないというよりも、まずは今の自分たちの知名度、集客力、経営力ではヴィッセル神戸さんにWin Winになるご提案は何もできません。でもそこで『企画として無理だよね』となってしまうと何も起きないので、まずは時期を伺いながらヴィッセル神戸さんに提案だけでもしてみようと思いました。『何も魅力的な提案はできないかもしれませんが、神戸に拠点を置くフットボール仲間として、こんな企画を考えているのですが、どうですか?』と提案させていただき、そこで断られてもダメ元だと考えていました。

――実現する上で何が困難だったでしょう。
ヒロキ まずはヴィッセル神戸さんとデウソン神戸の窓口のような役割をして頂いていた方が急遽退任されたことで、10月くらいに両クラブをつなぐ人脈が途切れてしまいました。この段階でかなり焦りましたが、そこからはデウソン神戸のアリーナDJをしてくれている林さんがヴィッセル神戸のDJということもあったので、「窓口として最適な人を紹介してください」とお願いしたり、また行政を使って、神戸市に掛け合い、ほとんど強引に『こんなことしたいのでヴィッセル神戸の人をつなげてください!』とお願いしまくりました。
最終的にはヴィッセル神戸さんにつないでもらえて、そこから企画の意図、想い、そして利益ではなく、ひとりでも多くの人にフットサルの試合って面白いねって思ってもらいたい!という考えを伝えさせていただきました。ヴィッセル神戸さんも、その意図を汲んでくれたことで、今回の企画が実現できました。

――実現できた最大の要因は何でしょう。
ヒロキ
 まずはSNS上でヴィッセル神戸さんと交流があったこと。そのSNS上でキーワードとして#WeAreKobeという言葉があり、この言葉がすごく大きなコンセプトを持ってくれたことです。
よくTwitterなどでは同じ神戸のフットボール仲間として、ヴィッセル神戸さん、INAC神戸さんたちのつぶやきにコメントしたり、積極的に交流をしようと行動しています。それを「乗っかり作戦」と言われますが、おおいにその通りで、自分たちよりも大きな存在の仲間の力を借りて、少しでも影響を貰おうと取り組んでいます。
でも、その乗っかり作戦が成立するのも、やはり#WeAreKobeというキーワードの存在が大きく、「神戸の仲間」という意識があるからこそ、ヴィッセル神戸サポーターも、今回の企画を好意的に受け取ってくれたと思います。

――企画段階、企画終了後、ヴィッセルさんの反応はどうでしたか?
ヒロキ 最初は「何をやりたいの?」といった反応だったと思いますが、企画意図を伝えさせていただいたところ、全面協力していただけました。それこそヴィッセル神戸さんにメリットはほぼありませんし、ホームゲーム最終戦でイベントもセレモニーもあって普段の試合よりも大変な中でした。そこに、もうひとつ仕事を増やしてしまう形になったんです。それでも、『神戸として面白いよね!』と前向きに捉えていただき、本当に全面協力していただきました。「ヴィッセル神戸のSNSでもニュースでも配信するよ! たくさんの人に来てもらえたら良いね!」と言っていただけました。

――ヴィッセルサポーターの反応はいかがでしたか?
ヒロキ 本来ならばありえない行動かもしれませんが、試合当日の寒い中、数時間後に試合を控えている選手たちに呼びかけてスタッフ、そして応援してくれるサポーターの人たちと一緒にヴィッセル神戸さんの試合があるスタジアムの駅前でチラシを配布しました。
その段階で、すでにSNS上での告知でイベントを知ってもらえていて「今日行くよー」と言って頂いたり、「どこで試合するの?」と反応してもらったり、すごく好意的な反応をいただけました。
選手たちもチラシを配布することで、誰がお客さんとして自分たちのプレーを観に来てくれるのか、肌で感じられたと思いますし、自分としては、たとえお客さんが100人くらいしか来てくれなかっても今回の企画の半分は成功だなと感じていました。しかし、試合前の選手たちに長時間のチラシ配りで酷使した事実はありますし、そのあたりはクラブの責任だと強く感じています。

試合を数時間後に控え、デウソン神戸の選手たちはビラ配りを行った

カギとなったSNSと#WeAreKobe

――いつも会場に足を運んでいる方たちの反応はいかがでしたか?
ヒロキ それこそ、今のFリーグの規模感かもしれませんし、今の時代のやり方かもしれませんが、もう最初から自分たちだけでは実現無理と割り切っていたので、『会場にいつも来てくれる人たちも巻き込もう』と思っていました。『デウソン神戸を好きでいてくれる人はみんな当事者ですよ!』という感じで、「チラシ一緒に配りませんか?」から始まり、ゴール裏のサポーターの人には「初めてくる人が多いのでわかりやすい応援をお願いします」と頼んだり。普段会場に足を運んでくださっている方たちも、全員が当事者として楽しんで取り組んでくれたと思います。

――Jリーグの会場とFリーグの会場が徒歩圏内になることは稀だと思います。とはいえ、10年間、ほとんどこういう企画はありませんでした。立地以外に、これまでこういう企画が実現できなかった要因は何があると考えられるでしょうか?
ヒロキ まずはデウソン神戸がヴィッセル神戸とは違うクラブだ! という認識を持ちすぎていたのではないかと思います。「一緒にやりたいよねー」と前々から担当者は言っていたと思いますが、やはり単純にアクションしなかっただけかと思います。そしてアクションしても、一度断られたらそこで辞めてしまう。自分はまず、最初にここのAbemaTVシリーズにはなんとしても集客はしようと考えていました。それにはヴィッセル神戸さんのお力が絶対に必要だと確信していたので、断られても何度もチャレンジして、違う角度から人を紹介してもらったり、何度もトライしました。本当にそれだけだと思います。あとは先にSNSを使って交流ができる関係性を作れていたことも大きいかもしれません。

――ヴィッセルさん以外に、どの程度『神戸』を巻き込むことができたのでしょうか?
ヒロキ 今回の企画のキーワードになっている#WeAreKobeという言葉が一人歩きをして、この企画に対して、アメフトのエレコム神戸ファイニーズさんも一緒に応援してくれました。先ほどの試合日のチラシ配布には、エレコム神戸ファイニーズさんの選手も手伝いにきてくれたり、本当に無償の愛情を感じました。
そういった他クラブの巻き込みは嬉しい誤算でしたし、何よりも行政も含めて寛大に応援していただけました。
それこそグリーンアリーナ神戸とユニバー総合運動公園競技場のある総合運動公園の中では本来、チラシの配布はできないのですが、そこも話を通していただける関係者を紹介してもらい「これは利益ではなく、それこそユニバーの試合終了後に20,000人のヴィッセル神戸さんのサポーターが一斉に帰宅すると車の渋滞、電車の混雑もあるので、それも回避できます! なにより神戸って面白いことしているなーと感じて楽しんでもらいたいのです」と伝えたところ、チラシの配布もOKしてもらえたり、本当にたくさんの人、行政を巻き込めました。

ハーフセントラルということもあり、会場には平均集客数の4倍を超える観客が集まった

――今回の成果はどう受け止めていますか?
ヒロキ まず、集客としては1,800人という結果があります。ただ、それ以上に、「サッカーからフットサルのはしご観戦」という企画を提供できたことに大きな成果を感じています。
でも、これは来季以降に向けての布石だなと感じているので、すでに来季に向けての戦略は考えています。
また、SNSでは多くの批判もいただきましたが、正直に言うと『批判さえもらえなくなったら終わりだ』と思っているので、そういう意味でも自分の中でのテーマである「ざわざわ感」を起こせたことは良かったと思っています。無視されるのが一番辛いですからね。

――逆に反省点はありますか?
ヒロキ もっと早い段階から告知をできるように各方面と調整することが必要でした。それに尽きます。

――Jリーグ のサポーターを巻き込めるかは、Fリーグ全体にとっても大きな意味を持ちます。今回のような企画をまたやる予定はありますか?
ヒロキ 神戸はサッカー男子と女子のトップチームがあり、フットサルも男子と女子がある稀な街です。それこそ「サッカー発祥の地」と言っている神戸なので、フットボールを通じての、それぞれのクラブの交流は続けます。
来季はINAC神戸さんとも面白い連携が出来ればと思いますし、先ほどのアメフトのエレコム神戸ファイニーズさんとも競技を越えた部分で、楽しい企画も始められると思います。

――「はしご観戦」以外に、ヴィッセルさんと取り組んでいきたいと考えていることはありますか?
ヒロキ お客さんのニーズとしては、ヴィッセル神戸 vs デウソン神戸のフットサルの試合はあると思います。ぜひ、実現したいですね。実は去年もINAC神戸 vs デウソン神戸の試合を開催したかったのですが、惜しいところで実現できませんでした。

――最後に何か言い残したことがあれば聞かせてください。
ヒロキ 同じアリーナスポーツということで、BリーグとFリーグは比較されがちですが、現段階での資本の差が大きく、全てにおいて比較対象になり得るのかは分かりません。もちろん、学ぶことは沢山ありますが、人・モノ・カネが圧倒的に足りていないフットサル界の現状の中で、ファンを増やし、賛同していただける企業様を増やすことは簡単ではありません。継続的に続けていきますが、やはり資本は必要だなと強く感じています。お金がなければ、良い人材も集まりません。いま、デウソン神戸は一番悪い状態にあって、ボランティアで働くスタッフがいて、選手もクラブの運営に取り組んでくれています。まず根本的に改善することを考える中で、『情熱』というキーワードをクラブのトップからボトムまで伝えていき、今後も活動をしていきたいと思います。


この「ハシゴ観戦DAY」に、どれだけの効果があったのか。1週間後に行われたFリーグのデウソン神戸vs府中アスレティックFCの試合を注目していた。残念ながら結果は、252人と平均観客数も大きく下回ることとなってしまった。それでも、この「ハシゴ観戦DAY」を実現できた意味は小さくない。神戸の他競技のクラブチームと築いた協力関係は、今後も生かされていくはずだ。また会場に足を運んだヴィッセル神戸のサポーターの中には、何が物足りなかったかを発信してくれる人もいる。何かにトライし、課題と向き合い、再びトライする。11年間、少しずつ衰退していったものが、劇的に改善されることは、ほとんどない。今後も地道な活動を続けていき、いつの日か「あの日がスタートになった」と言われれば、この日の出来事は、より大きな価値を持っていくはずだ。

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