[女子選手権]大会プレビュー 女王・アルコイリス神戸が丸岡ラックと同組に 全国リーグ勢はその価値を示せるか

 

編集部員K 大変です、大変です。まもなく全日本女子選手権が開幕してしまいます!

編集長X 早く、AFCフットサル選手権予選の原稿を書き終えろよ! 選手のコメント、まだ全然アップされていないじゃないか。

編集部員K すみません! でも、それはそれ、これはこれで大変なんですよ!

編集長X どういうことだ?

編集部員K 日本の女子フットサル界は、今年から全国リーグが始まったんです。そこには7チームが所属しているのですが、今回の全日本女子フットサル選手権には、そのうちさいたまサイコロ(関東2/埼玉)、福井丸岡ラック(北信越/福井)、アルコイリス神戸(関西1/兵庫)の3チームが出場するんです。

編集長X なに? 7チーム中、3チームしか出場できないのか?

編集部員K はい。まだ、女子の全国リーグのクラブや選手は、本当の意味でトップ・オブ・トップが集まれているわけではないと思うんです。各クラブにとってリーグの求める基準を満たすことは簡単ではありませんし、選手たちにもいきなり移籍して、環境を大きく変えることが現実的ではない場合もありますからね。ただ、大変なのは、全国リーグから3チームしか出られないことじゃないんですよ。

編集長X もったいぶらずに、教えろよ。

編集部員K なんと、その3チームのうち、前回大会女王のアルコイリス神戸と福井丸岡ラックが、グループステージで同じC組に入ってしまったんですよ。

編集長X なんだとっ!? 地域リーグを主戦場とするクラブと、全国リーグにも参戦しているクラブの対戦が大きな見所になるはずなのに、つぶし合いが起きてしまったのか!?

編集部員K そうなんですよ! もったいないですよねぇ。女子選手権の予選の試合は前後半ともに12分しかありません。地域チャンピオンズリーグと並び、現在の日本女子フットサル界の真の頂点を争う大会のグループステージで、決勝のカードになってもおかしくないビッグマッチが実現しちゃったんです。さらに、グループステージを勝ち上がれるのは、1チームのみ。どちらかは、グループステージで姿を消すことになります。

編集長X むむむ。絶対に負けることが許されない全国リーグ所属チーム同士のつぶし合いか……それは大注目だな。

編集部員K はい。もう予選はそこだけ注目すれば……。

編集長X こら! そう言って、すすきのにくり出す理由をつくろうとするなよ! 机の上に、ガイドブックがあることに、気づいていないと思っているのか!

編集部員K ぎくっ。さ、さすが編集長。視野が広い。

 

 

編集長X グループDにも注目のビッグマッチがあるじゃないか。かつてフウガドールすみだが、男子リーグに入る前は、東のフウガドールすみだ、西のSWHという構図があったが、今回は両チームの女子クラブが対戦するんだろ?

編集部員K はい。そうなんです。おそらくグループDは、フウガドールすみだレディース(関東1/東京)とSWHレディースフットサルクラブ(関西2/兵庫)のどちらかが勝ち上がるんじゃないかなと思いますね。デリッツィア磐田(東海2/静岡)も注目ですが、今回が全国大会は初出場。アストゥーロ鹿児島(九州1/鹿児島)も九州を代表するクラブで、特に鹿児島には良い選手が多いんですよ。その選手たちが複数のチームに分散していたから「選抜チームができたら強いね」なんて言われていたんです。それが今年はバレンティンというチームから主力選手が何人かアストゥーロに移籍し、かなりチームのベースアップが実現できました。ただ、フウガドールすみだには、勝俣里穗選手がいますからね。彼女を抑えられる選手は、なかなかいませんよ。

編集長X このグループには、アジアインドアゲームズの日本代表に選ばれたゴレイラも2人いるじゃないか。

編集部員K おお、やはり編集長は視野が広い! そうなんです。SWHの山本彩加と、デリッツィア磐田の前原りんごですね。さらに、すみだのGK杉山藍子も、この2人に引けを取らない実力の持ち主です。彼女たちの競演は、興味深いですね。

編集長X グループAは、予測不能だな。注目は、東海の古豪メンバー・オブ・ザ・ギャング(東海1/三重県)か。前回大会は監督として采配を振るったGKの佐藤麻陽が、選手に復帰する影響は大きいだろうな。ピヴォの榎木園美加が前に張るクラシカルな戦いは安定感もある。開催地枠で出場するサフィルヴァ・コルミージョ(北海道)にも元日本代表の加藤沙織らがいるし、どこが勝ち上がってくるか、楽しみだ。

 

 

編集部員K 逆にグループBは、全国リーグに出場しているさいたまサイコロが絶対的な大本命ですね。かつてFリーグでも指揮を執った小野直樹監督が率いるチームです。

編集長X このグループは、サイコロは負けられないな。

編集部員K ただ、サイコロは引いた相手を崩すのが苦手なんですよね。ハーフまで引かれてしまい、ボールの失い方が悪かったりすると、もしかして……が起きてしまうかもしれません。

編集長X ピヴォを使った奥行きのある攻撃をどう封じるか。他のチームにとっては、そこがカギになるわけだな。

編集部員K はい。スコアが同点であれば、サイコロにはパワープレーという武器もあります。女子のフットサルでは、なかなか成功することが少ないのですが、サイコロは数的優位をうまく使えるチームです。ただし会場の横幅が狭いと、相手を振り切れないので、できればパワープレーをする前に勝負をつけたいところだと思いますね。対抗できるとすれば、関西予選でPK戦の末に選手権常連のレオグラスタを破ったバンブグリーンパークレディース(関西3/京都府)でしょうか。FP兼ゴレイラの良い選手がいるんですよ。コラッサにも数年前に九州リーグの得点王になったような、絶対的エースのフィクソがいたんですよね。彼女が出てきたら面白そうですね。

 

 

編集長X そうしたタレントの出現は、この大会の魅力だからな。話をグループCに戻すけど、アルコイリス神戸と福井丸岡ラックは、どっちが勝ちそうなんだ?

編集部員K そうですね……。女子リーグの第7節の結果では、アルコイリス神戸が3-1で勝利しました。今のアルコイリスの充実ぶりは、半端じゃないですし、ちょっとやそっとでは止められないと思います。フィジカル能力では、20歳くらいの選手が中心の丸岡ラックを上回っていますし、江口未珂、関灘美那子、藤田靖香、加藤正美が構成するファーストセットは、現在、日本最高ではないでしょうか。攻撃時の選択肢が多く、個人で仕掛けることも、組織で崩すこともできる。さらに全員がハードワークをいとわない。特に女子リーグで得点女王となっている江口は大注目ですよ。女版・皆本晃とでもいう存在で、小柄ですが後方からドリブルで持ち上がり、フィニッシュを決めきる力もあります。日本人女性で最後尾からフィニッシュまで行ける選手は、彼女くらいかもしれません。丸岡も攻撃的なチームではあるのですが、この相手に対してはハーフまで引いてカウンターを仕掛ける戦い方が有効なのではないでしょうか。あとは12分ハーフなので、丸岡ラックは日本代表のFP北川夏奈、FP高尾茜利の2人がフル出場するくらいの方がいいかもしれません。

編集長X 丸岡ラックは選手が住んでいる場所もバラバラで、全員がそろって練習することも難しいようだから、そのハンディをどう埋められるかだな。大学に通っている選手たちは、進路をどうするかという時期にもさしかかっているし、なかなかフットサルに専念できない。となると、やはりアルコイリス神戸が本命か。

編集部員K そうですね。ですから、A=さいたまサイコロ、B=メンバー・オブ・ザ・ギャング、C=アルコイリス神戸、D=フウガドールすみだレディースというのが、各グループを勝ち上がるかなと予想します。

編集長X なるほど。どうなるか、楽しみだな。

編集部員K 決勝トーナメントに入れば、一発勝負だから何が起こるかわかりません。全国リーグ勢同士の決勝戦が実現するとすれば、グループAとグループBの山からは、サイコロが勝ち上がらないといけません。グループCとグループDには、アルコイリス神戸、福井丸岡ラック、SWHレディース、フウガドールすみだと日本のトップクラブが4つも入っています。ここでの消耗は大きいでしょうし、決勝戦はグループAとグループBを勝ち上がったチームにも、チャンスがあると思いますよ。

編集長X こうしたプレビューをやると、大会が楽しみになってくるな。

編集部員K はい。大会は10日に開幕で、決勝は12日に行われます。来年の大会は北海道開催ではなくなるという話ですし、どんな歴史がつくられるか注目です。では早速、札幌に行こうと思います!

編集長X ちょっと待て! まだアジア選手権予選の原稿、終わってないだろう。そっちもしっかりやれよ!

編集部員K おお、うまく話をそらせたつもりだったのに……。

 

(写真はすべて前回大会のもの)