Fリーグ

【インタビュー】慶應大ソッカー部 四戸紀秀監督「サッカーとフットサル、二刀流の挑戦」(後編)

――火曜日にフットサルの練習が増えるということで、選手たちにはどのような負担が増えていますか?

四戸 サッカーの練習をした後にフットサルのトレーニングをするので、フィジカル的には2部練習になるというハードルがあります。また、カテゴリーによっては翌日朝6時半から練習があります。21時にフットサルの練習が終わって、家に帰って寝たか寝ないかのうちに起きて、次の日の練習に出ないといけない負担はありますね。
 ただ、今うちの部としてメンタル的にタフにしないといけないというテーマを掲げています。今年からソッカー部の監督に就任された淺海友峰監督からは、「フットサルで二刀流をやり、タフさも付けてほしい」というリクエストをもらっています。
 いま二部練習はやらないのが主流になりつつありますが、タフさの面でも決して悪くないのかなと感じています。また、他のメンバーとポジションを争っている時に、どこかで人より多く練習することは必要でしょう。
 私がよくフットサル部門の選手たちに言うのは、「高校のレベルで4年間勝負するんじゃないんだよ。毎年うまくなって、3年目、4年目にサッカーリーグにも出るんだよ」ということです。週に1回ですが2部練習をして他の選手よりもトレーニングすることはプラスに捉えてほしいなと思っています。ただ、現実としては負担になっているのは間違いないでしょう。

――トレーニングではどんなことを意識しているのでしょうか?

四戸 フットサルっぽい動きの練習もするのですが、それを自分たちが採用するかどうかは、別問題としてトレーニングしているんです。体育会フットサル部の多摩大さんとかと試合をする時に、相手が何をやってくるかを把握していないと、守れないからやるんです。守るために、最低限のフットサル戦術の攻めの動きを触れています。でも、うちのスタイルとしては、ほぼサッカーを生かすというか、週に1回の練習だけで全員が間違いないところまで落とし込むのは難しいので、そこはある程度、切り捨てちゃっています。
 逆にあまりハメ込みすぎると良さが崩れてしまいますので、普段サッカーでやっている発想で崩していいよとか、2人の感覚で崩しに行っていいよというところは、特に私からは口を出していません。フットサルの教科書的には「そのカウンターは危ないよね」「逆にひっかけられるよね」ということも、「それ教科書ではダメだよ」と言わずにそれを強みとして、ちょっとサッカーを残した感じでやっています。

――そうしたやり方をしているのは、なぜでしょうか?

四戸 私も大学サッカーまで慶應大学ソッカー部でプレーをしていて、大学卒業後にフットサルに鞍替えしたんです。というのも大学3年の冬のオフ期間に、仲間うちで山中湖で開催されたフットサル大会に、遊びで出たんです。関東大学サッカーリーグの現役選手でしたから、余裕で優勝できると思っていたら、1試合目で対戦したのが、レイク山中っていうアズー(広山晴士、甲斐修侍、眞境名オスカーらが組んだ伝説のチーム)の前身のチームだったんです。全くボールを触ることができず、この人たち何者なんだろうと思っていたら、藤沢のフットサル場で広山さんたちが、トレーニングをしていたんですよね。私は藤沢キャンパスに通っていたので、「あれ? あの人たちがここにいる」というところからハマっていって、社会人になってからは、チームをつくり、神奈川からはるばる天竜リーグに参加し、マリオ安光さんにフットサルを教えてもらい、日系ブラジル人に教えてもらったりと、10年くらい独学でフットサルを勉強しました。

――そんなに昔からやられていたんですね!

四戸 はい。ただ、その10年後くらいに稲葉洸太郎くん、北原亘くんたちがやっていた「森のくまさん」というチームが現れ「自分たちも昔はこんなスタイルだったのに、フットサルを勉強し過ぎて怖さをなくしすぎたな」と感じたんです。今はそうならないように、サッカーを生かしたフットサルをどう組み立てようかなというのが、慶應のフットサルスタイルです。

――それは面白いですね!

四戸 なので、フットサルプロパーの方が、うちのフットサルを見ると「まだまだだな」「粗削りだな」というふうによく聞きますが、そこはあえての粗削り、あえてそこまで戦術を落とし込んでいないということなんです。

――フウガドールすみだは、今もそういう感じが残っていますからね。

四戸 うちのモデルは、数年前のフウガドールすみだなんですよね。太見寿人くんと清水和也くんという2人のピヴォがいた頃のビデオをよく見せて、あれに近いスタイルを少しやっているんです。

――逆にサッカーにもフットサルの影響は出てきていると感じますか?

四戸 私がフットサルの指導者をやる時、実は週2回くらいはサッカーのボールでサッカーのトレーニングをさせたいと考えているんです。一つは違うサイズのボールを触ることで、刺激として体の感覚にも、神経にも良いと思っているんです。また、普段5号ボールを触っている子は、4号ボールを触るのはやりやすいんです。その逆は難しいんですけどね。なので、常に4号ボールではなく、5号ボールを触る。サッカーのトレーニングをすると、視野も広くなります。最初にトラップした時に見るところって、フットサルとサッカーでは違うんですね。その辺も普段からサッカーをトレーニングしていると、フットサルに影響もすごくあるんです。
 結構、フットサルの影響がサッカーにあるという人が多いのですが、その逆も大きいと思うんですよね。フィジカルのところもそうですし、体のぶつけ方もそうです。ですから、普段からサッカーのトレーニングをやれることは、実はフットサルチームにとってすごくメリットだと思うんです。

――監督の目標は何でしょうか?

四戸 慶應大学ソッカー部には、全国優勝をした時に歌うソッカー部の歌があるんです。いつでも優勝した時に歌えるようにしてあるのですが、今は決起会くらいでしか歌っていないんです。本来は全国優勝した時に、みんなで肩を組んで歌う歌なので、フットサル部門ではそれを実現しようと目標にしています。
 私も現役の時に一度だけ歌ったことがあるんです。それはサッカーの時なのですが、慶應大が関東2部で2位になり、1部から落ちてくるチームと入れ替え戦をやることになったんです。その相手が一度も落ちたことのない早稲田だったんです。勝ったほうが1部に行けるという本気の早慶戦で、西が丘がお互いのOBで埋まったんです。その試合で慶応が早稲田に勝って、全国優勝したわけではなかったのですが、自然発生的にスタンドと、グラウンドにいた私たち選手が、みんなで挨拶をしに行った時に部歌を歌ったんです。自分がグラウンドにいた時も、鳥肌が立つような体験でした。
 あの経験を、今の選手たちが卒業する前に体験してほしいと思っています。まず私が担当しているフットサル部門であれをやろうというのが、一つのテーマです。うちのスタンドに「全国優勝して部歌を歌う」っていう横断幕を出してもらっているのですが、そこにはそういう意味があるんです。

――今後、フットサル部を独立させることも考えているのでしょうか?

四戸 それは考えていません。我々が二刀流でやっていることで「フットサルに鞍替えすればいいじゃないか」とか、「サッカー部が遊びでやるんじゃない」と言われることがあるんですが、そもそも遊びではないんです。なぜ二刀流かというと、少し大げさになりますが、日本のフットサルの強化にもなると思っています。プロを目指す子たちは、高校サッカーで終わることができません。大学サッカーをして、4年後にはプロになるという目標があるはずです。
 やっぱり体育会はプロ予備軍の位置づけもあると思いますからね。その子たちに、「サッカーを辞めて、フットサルに鞍替えしてください」というのは、なかなか難しい。本人たちも、その決断はできないでしょう。ただ、大学サッカー界には、フットサルをやっていたら日本代表に行くかもなっていう選手がいっぱいいます。
 だから、「どっちかを選びなさい」というのではなく、「二刀流」なんです。もちろんフットサルをやることでサッカーへの相乗効果もありますし、最初は「なんでフットサルをやるんだよ」と言っていた子がハマっていったりして、フットサルで才能を開花させることもあると思います。そういう意味では二刀流は、すごく良いと思っています。今はうちと、流経大学と東京国際大学の3校だけですが、数年後、大学サッカー部のこういう挑戦は増えてくるのではないかなと思っています。サッカーもフットサルも、そんなに簡単じゃないのだよと、どちらの業界からも怒られてはいそうですが、そこは私も重々承知しております。そのうえでの二刀流という挑戦なんです。

――そこから在学中に、フットサル日本代表に選ばれる選手が出てくると面白そうですね。

四戸 そうですね。今、Fリーガーだけで食べていくのは、大変だと思うんです。大学生のうちにU-20日本代表ではなく、フットサルのフル代表が出てくるレベルまで大学フットサルを持っていけたら、面白いと思いますし、日本のフットサルの更なるレベルアップに貢献できるのではないかと思っています。

――女子Fリーグには、流経大が参戦しています。ブラジルでも大学のチームが全国リーグに参戦していたりするので、Fリーグに大学チームが参戦するようになっても面白そうですよね。早慶戦に向けては、どのような意気込みで臨みますか?

四戸 早稲田さんがどういうメンバーになるかわかりませんが、負けられませんよね。大学フットサル選手権の準優勝チームが、そんなものかとなってしまいますからね。

◆◆【PR】フットサル/サッカーブランド agrina◆◆

前編はコチラ
【インタビュー】慶應大ソッカー部 四戸紀秀監督「サッカーとフットサル、二刀流の挑戦」(前編)

関連記事

  1. 【Fリーグ】浦安が元日本代表FP高橋健介氏の監督就任を発表 「選…
  2. 【Fリーグ】日本代表に招集された大分FP仁部屋「しっかりと集中し…
  3. 【練習試合】立川・府中とすみだは2-2のドロー。すみだの新外国人…
  4. 【Fリーグ】大阪を相手に前半のリードを守り切った町田、プレーオフ…
  5. 【F1】町田が2019/2020シーズンの下部組織コーチングスタ…
  6. 【Fリーグ】ディビジョン1 2018/2019シーズン開幕前 移…
  7. 【Fリーグ】積極補強の府中、北海道のキャプテンFP酒井遼太郎の加…
  8. 【Fリーグ】大分が元日本代表FP山蔦一弘の現役引退を発表 「大好…

日本代表

Fリーグ

海外

女子

人気の投稿とページ

Twitter でフォロー

カテゴリー

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。