【コラム】元フットサル日本代表FP難波田治 フットサルの体育導入反対報道で思ったこと

12月6日、朝日新聞に掲載された「体育にフットサル『反対』」という記事が、SNSを中心に大きな議論を呼んだ。この話題について、どうしても話を聞きたい人がいた。難波田治。ファイルフォックスの初代キャプテンであり、ブラジルでもプロとしてファルカンと同じチームでプレー、フットサル日本代表の一員として2004年のW杯にも出場。名古屋オーシャンズの前進である大洋薬品/BANFFに在籍し、府中と湘南の選手としてFリーグのピッチにも立った。現在は一線を退き、小学校の教員を務めている。元フットサル選手、そして教員の立場から、どう感じたのか。その思いを綴ってもらった。

 

「サッカー協会が、小学校体育の授業にフットサルを導入することに反対した」という趣旨の記事が、朝日新聞に掲載された。サッカー協会の方が反対なんだ、と残念に思うよりも、『やっぱり』という感じがした。

僕自身、一応フットサル経験者だし、一応(現在は)小学校教員で、両面を知っているつもりだ。その立場から正直に言うと、フットサルが体育の授業で扱われても、扱われなくても「どちらでもいい」という感じだ。ただし、それは教育委員会とかが渋っているのならという前提で。だって、フットサルを授業に導入することが、どれくらい大変かは多少わかってはいるから。でも今回は、フットサルを授業に組み込むのを渋っているのは、フットサルを管轄しているサッカー協会だという。むしろ、教育委員会やスポーツ庁はOKらしいのに……。

フットサル側から見たら、学校で教えてもらって普及したいという思惑もあるだろうけど、それだけでは学校体育の中に組み込むには説得力が全然ない。それでも、僕もお世話になった元フットサル日本代表団長の方は、小学校体育の授業にフットサルを組み込もうと、とても勢力的に活動されていた。僕が教員になったことも、どこからか知っていてくれて「力を貸してくれ」と言われたこともあるし、今でも言ってくださる。それも、もう10年くらい前から。そんな方達が地道に活動されていたから、教員の人達にも少しずつ「授業としてのフットサル」に対する理解が広まり、組み込むところまできたのだなと推察できる。

教員の立場からしたら、正直サッカーを教えるのも、フットサルを教えるのも、大きく変わらないと思う。教員にもいろいろな人がいるわけで、何も知らない人は「どこが違うの?」と思うのは当然。たまたま僕はフットサルを知っているから、サッカーと比べての良し悪しがわかる。

僕が授業をしているとき、サッカーはボールが跳ねるから、とても気を遣う。女子は怖がるし、ボールが顔まで跳ねるから手が出てしまう。「たかがボールでしょ?」と思うかもしれないけど、結構大事。怖い、怪我とかはこのご時世、学校側はとても敏感だ。授業の本質は、「止めて」「蹴る」の基本的な技術をやれるようになることだと思う。それなら跳ねないボールの方が、確実にやりやすい。ということは、子どもにとっても、フットサルは親しみやすい競技になるのではないだろうか。そもそも子どもによっては得意不得意があり、体育が苦手な子の中には、「なんでボールなんか蹴らなきゃならないの!」と普通に考えている子もいる。それなら、少しでも恐怖心を感じずに、安全で親しみやすい方がいいのではないだろうか。

そういうことも考えて、学校体育の授業にフットサルを導入しようと活動された人がいたのではないだろうか。それで実際に、認められるところまできたのではないか。

あらためて、フットサル選手と教員という両面から見ても、教員側が「NO」というならわかる。でも、サッカー協会が「NO」というのは理解できない……。

記事には、サッカー協会が反対したのは、「学校現場の負担になる」からというのが理由だと書いてあった。でも、サッカーがフットサルになっても、教育の現場の負担にはならないと思う。それは競技が入れ替わるだけだから。それなら、道徳が教科化されることや外国語授業の導入、授業時数の増加など、現場が困惑していることは数多くある。その都度の対応や会議、事務処理などなど、「負担」というなら他にもキリがないくらいたくさんある。無駄なものを省かずに、増えていくばかりだ。もし、サッカー協会の中に、教育の現場を知っている人がいるのなら、本当の「負担」という事がどんなものか、わかってくれてもいいのに、と思う。

もしかしたら、これもフットサル日本代表が勝てていないからなのだろうか。フル代表がW杯出場を逃し、U20日本代表も負けて、アジアインドアゲームズでは男女ともにタイトルを逃した。「こんなところまで影響があるはずないだろう!」と思われるかもしれないけど、強くもない競技から学ぶことがあるのかと、理由をつけられてしまっているかもしれない。それくらい、代表は本当に結果がすべてだ。

僕はフットサルを、是が非でも、体育の授業に導入して欲しい、とは思っていない。でも、それについてサッカー協会が反対することは、おかしいと思う。現在も厳しい環境の中で、フットサルに真剣に関わっている人はたくさんいる。結果を出して環境を変えたいと思っている人はたくさんいる。

協会は、そんな人たちとどう関わっていくのかな。そもそも、関わる気はないのかな…。そんなことまで、考えさせられたニュースだった。