【U-20AFC選手権】グループステージから難しい試合を予想する鈴木隆二監督 「A代表とは違う勢力図になる」

 

日本サッカー協会は27日、都内でU-20AFCフットサル選手権のメンバー発表記者会見を行った。会見に出席した鈴木隆二監督は、「日本代表としては優勝を目指して、頑張っていきたいと思います」と、目標を掲げている。

アジアのフットサルは長年にわたって、イラン、日本、タイ、ウズベキスタンといった国が引っ張ってきた。しかし鈴木監督は、U-20の大会ではその勢力図がこれまでと違う可能性を指摘し、ベトナム、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、タジキスタン、インドネシアと同組になったグループステージから、油断はできないと警戒心を強めた。

以下、鈴木隆二監督の会見コメント
鈴木 こんにちは。U-20フットサル日本代表監督を務めさせていただいている鈴木隆二です。今回、AFCU-20フットサル選手権の第1回大会が開催されます。昨年の8月のタイランド5sから活動が始まり、このU-20選手権の本大会に向けて、ラージリストを広げさせていただき、いろいろな選手をトレーニングキャンプに招集してきました。今日、この大会に臨むメンバーを発表させていただきます。大会は、記念すべき第一回大会ですので、日本代表としては優勝を目指して、頑張っていきたいと思います。

――今回、最終的に松岡瑠夢選手が外れていますが、メンバー選考に悩んだ部分、チームとして強調したかった部分があれば教えてください。
鈴木 U-20世代の選手というのは可能性の塊です。現段階で選手の可能性、それから能力のすべてが決まっているわけではないと思います。その中で、去年の9月から今大会に向けた活動をしてきました。先ほど、名前のあがった元FC東京U-18の松岡瑠夢選手であったり、現流通経済大の樋口岳志選手、そういうサッカーをメインでやっている選手たちにも声をかけさせてもらいました。彼らが、フットサルがサッカーに生きるということを一つのモチベーションとしながら、フットサルの魅力を感じて、フットサルの代表活動に加わってきてくれました。

このチームの一つのカラーとして、今後の日本のフットボール界に一つ影響を与えられる組織、グループ、集団になっていけたらと思っています。今回、サッカーをメインでやっている選手の中では、流通経済大の樋口選手が入っていますが、それ以外にも全日本ユース選手権でプロパーとしてフットサル選手をずっと続けてきた選手、それからサッカー部とフットサル部を両立してきた選手たちも候補としてずっと活動に参加してきてくれました。その中で多くの選手、多くのFリーグの関係者の方々の協力を得て、昨年9月からスタートしたときから比べると、前回は3月14日、15日に合宿をさせていただきましたが、選手たちが見違えるような成長を見せて戻ってきてくれました。その中で、ケガ、またはコンディション、チームの目標とするものを僕なりに総合的に考えて、このメンバー選考をさせていただきました。

――今大会の目標、ノルマはどのように考えていますか?
鈴木 目標は優勝です。これは日本代表として、アジア選手権に臨む以上は優勝しかないと考えています。U-20というカテゴリーにノルマの設定は難しいと思いますが、僕自身が自分自身に、またはチーム、選手たちに課したいノルマというのは、この世代の選手たちが世界のトップクラスの国、または世界トップクラスの選手たちと対等に戦って、勝負して勝てるというメンタリティや価値観、選手としてのスケールを、身に着けるきっかけにすること。どういう結果になっても、必ず次に大きくつながるものをチーム、僕自身のノルマにしています。

――流通経済大の樋口選手のフットサルの魅力を教えてください。
鈴木 まず一つは、サッカーをやっている選手ですが、非常にスペースの認知能力が高い選手です。フットサルという競技はピッチが狭いので、選手がローテーションしてポジションを変更する中で、サッカー出身の選手は少し迷ってしまう場面があります。しかし、彼はもともとサッカー選手としてボランチをやっていた経緯もあり、非常にバランスをとるのがうまい選手です。また、シュートのポテンシャル。これもサッカー選手出身で、非常に高いポテンシャルがありますし、フィジカルベース、身長、体重を含めて、今のフットサル界が求めているポテンシャルを秘めた選手だと思っています。

――サッカーとフットサルを広く見て人材を登用するのは、サッカー界にとっても、フットサル界にとっても良いことだと思いますが、簡単ではないのではないでしょうか。そのあたり、今後はどう考えていますか?
鈴木 A代表でチャレンジするのは難しいかなと思います。ただ、現段階で日本のフットサル界にはアンダーカテゴリーが、U-20しかありません。より下のカテゴリーがあれば、下であるほど、いいのではないかと思います。サッカーとフットサルは、ピッチや人数が違うので協議の特性は変わってきますが、僕自身はビーチサッカーを含めてフットボールという大きな一つの括りだと思っています。ピッチのサイズなどから違いはでてきますが、日本のフットボール界全体の発展を考えたときに、こういうチャレンジをさせていただくことは、日本のサッカー界、フットサル界、フットボール界全体に、何か貢献できるのではないかと考えています。

以下、鈴木隆二監督の囲み取材コメント

――メンバー選考は、どれくらい悩みましたか?
鈴木 またケガ人もいましたので、最後の最後まで悩みましたね。ただ、大枠のベースになるところは、自分の中で確信をもって決めた部分があるのですが、最後のけが人の調整の部分では、彼らの世代の大会が継続してあるわけではありませんでした。また、どうしてもシーズンがオフになってしまうつながりもあり、選手のチェックが十分にできる機会がなかったのは、悩む要因になりましたね。

――タイランド5sのメンバーは半分くらいしか残りませんでした。
鈴木 タイランド5sでああいう経験をした選手たちに、今回のメンバーに入っていない選手もいますが、あの大会をとおして彼らが選手として大きな経験、財産を蓄えてくれていると思います。ここはU-20なので、彼らの評価、可能性がここで決まったということでは決してありません。ラージリストもありましたし、候補に呼べなかった選手も含めると、60人弱、僕の方で作らせていただきました。もっと機会があったり、大会が多くあれば、いろいろな選手を抜擢したり、チャンスをつくって、彼らの可能性を広げられたと思います。なかなか海外のチームとの公式戦、この本大会しか残されていない状況で、合宿の中で最大限、トレーニングマッチを行い、各地に行って視察をして、このメンバーで行くと決めました。

――結果と成長を両立するのは難しいですが、どちらを優先しますか?
鈴木 A代表は違いますが、若い世代は同時にやることだと僕は思っています。僕の仕事として、例えばプラニングであったり、プログラムをつくる作業は当然重要ですが、試合中に選手を伸ばせるかは、指導者として、監督として、非常に重要な仕事だと思っています。自分たちが対戦相手より、力が劣っている、または勝っているという状況であっても、その試合でしか発生しない何かがあります。それをしっかりキャッチしながら、大事なポイントを伝えて、試合中に選手が伸びる。トレーニングで選手は伸びますし、トレーニングはものすごく重要ですが、一番選手がどこで自信を身に着けるか。一番どこで選手が戦いを学び、自分のものにしていくかというと、本番の1試合1試合になります。普段のトレーニングをできるだけそれに近いものにしながら、実際に大会が始まったら育成というのと勝負にこだわること。同時に取り組んでいきたいと思います。

――ユースオリンピックの出場権は、決勝に出場した2チームに与えられるというのであっていますか?
鈴木 はい。ただ、ユースオリンピックの出場資格を持っている選手は、年齢的に今回のメンバーは該当しないんです。18歳以下になるので。

――山田慈英選手だけですね。
鈴木 そうなんです。

――次の大会(第2回U-20AFCフットサル選手権)に出られる選手の世代なんですね。
鈴木 はい。今の段階で日本はU-18がないので、またそれは違う大会、違う位置づけで臨むことになると思います。いま、グループリーグで対戦するチームの情報を集めているのですが、ベトナムはもともと(A代表監督の)ブルーノ監督がやっていました。ブルーノのコンセプトを、そのまま引き継いで強化している。ブルーノが代表監督を務めていたときに、加わっていた若い選手も数人いるということなので、グループリーグの中では、ベトナムが一つ大きなライバルになると思います。それ以外も、台湾も、インドネシアの情報も入れていますが、タジキスタンだけは現地で調べるしかなさそうです。インドネシアU-20代表は国内でクラブチームのように活動して、クラブチームとの試合や大会に参加するような活動をしています。ベトナムもそのようにクラブチームのような形で大会に出ています。台湾は、フットサルに関して3、4年前から真剣に取り組み始めています。発展途上国かもしれませんが、フットサルを全く知らない国ではなく、少しフットサルを知っている。もしかしたら、だいぶ知っているかもしれません。その中で、ポテンシャルのある選手が各ポジションにいることを考えると、グループリーグから気が抜ける試合は1つもないと思います。このU-20世代の大会は、第一回大会ということもあるので、今のアジアのA代表の勢力図とはまた違う勢力図になると考えています。

――決勝ラウンドに進むと仮定した場合、ライバルとなりそうなのはどこでしょうか?
鈴木 Bグループの1位、2位のどちらで決勝トーナメントに進んでも、Aグループの1位、2位と対戦します。Aグループは、イラクとタイがいます。タイは、元日本代表監督のミゲル・ロドリゴ監督の下、ずっと強化していますし、開催国のアドバンテージもあります。そしてイラクが優勝候補に近いと。これはブルーノ監督も言っていましたが、イラン人のような体格を持っており、この大会に向けて1年間強化を続けています。先ほどの補足になりますが、この世代を通して、将来のアジアの勢力図が変わってくると感じさせる大会になるのではないかと、僕自身は感じています。決勝トーナメントに行けば、Aグループの結果次第ですが、初戦がイラクかタイと当たるはずなので、そこが大きな山場になると思います。順当にいけば、準決勝はイランです。さらに決勝になると、ウズベキスタンが出てくる可能性もあります。ウズベキスタンもA代表のプルピス監督がやっています。そういう国は、スペシャルなプログラムというか、強化策が取れるので、代表チームというよりもクラブチームのように取り組んでいると思うので、U-20日本代表は限られた時間の中で、できる限り最善の準備をして、優勝を目指していかないといけないと感じています。

――スペインスタイルの対決になりそうですね。
鈴木 そうですね。アジアにも優秀なスペインの指導者が多いこともありますよね。

――日本はどんなスタイルで戦いますか?
鈴木 僕が本質的に目指しているのは、選手がピッチ内で躍動することです。機動力があり、推進力があって、ゴールを常に目指すフットサルが僕の目指すフットサルです。U-20の選手から、そういうゴールに目指す姿勢を前面に出したフットサルをしていかないと、将来的にA代表とか世界のトップクラス、本当に大きなワールドカップといった舞台で、世界のトッププレーヤーと対等に戦える選手は育ってこないと思うので、そこは僕自身が強いこだわりを持ち、チャレンジしていきたいと思います。

――ハイプレスをかけて、攻撃的にというイメージでいいですか?
鈴木 前からプレスをかけることはやっていきますが、試合のプランによってはそうではないときも、当然あります。躍動するというのは、勝負をしっかりして成長して、そのうえで見ている人が勝とうとしているな、前に向かっているなといった、道を切り開いている姿勢が見えること。それが僕自身、一番、選手たちに伝えたいところです。簡単な言葉にすると、切り開くとか、前のめりな姿勢とか。そういうのが彼らのフィロソフィーとして、根付いてくれたらと思っています。

――内田選手は代表での経験が浅いと思いますが、選出したのは爆発的に伸びていたということですか?
鈴木 彼も鹿島ユース出身で、サッカー選手としてのポテンシャルをもっていました。この短い期間で、全日本選手権を含めて試合を視察させていただきました。代表の2回、計4回のセッションで、彼の吸収のレベル、縦への推進力、能力を含めて、U-20世代の代表の選手として、大きく貢献してくれると考えて招集しました。

――一方、これまでの合宿ではパワープレーもやっていた新田駿選手は入るのかなと予想していましたが、予備登録メンバーになりました。
鈴木 彼の能力を疑っているわけではありません。各ポジションの選手は、仁井貴仁選手もそうですが、一番最初に代表合宿に招集したときの仁井貴仁と、プレーオフの決勝に出場して結果を残した後の仁井貴仁では、やっぱりまた全然違う別人なのです。決して、どの選手の能力が高かったということではなく、この世代の選手は短い期間でも成長をします。その中で、僕自身が現段階で成長の度合い、大会に行ってからの可能性を考えて、こういうメンバー構成にしました。繰り返しになりますが、たとえば、新田駿がメンバーとして行ったときに戦力にならないかというと、そういうことではありません。むしろ、もしかしたらより大きな力を発揮してくれるかもしれません。最後の最後までいろいろなところで悩んだのは、そういう伸びしろの部分を秘めた選手たちだからです。

――Fリーグでプレーしている選手が中心になるのかなと思っていたのですが、その成長によっては、違う選手がチームの主軸になることもあり得ますか?
鈴木 一番のぞましいのは、そういう若い可能性のある選手たちが、Fリーグの公式戦に清水和也のようにコンスタントに出てくれることです。それが一番の強化になると思うので、将来的にはそういう選手たちが、実際にアンダーカテゴリーでも中核になることが一番いい形ではないかと思っています。でも、現段階で、僕自身がタイランド5sが終わり、改めてラージリストを作り直し、視察して感じたのは、試合に出られている選手、出られていない選手がいます。ただ、高校3年生の選手は、最終学年なのでチームの主力として試合に出ています。19歳になったばかりの選手は、大学のチームであろうが、社会人チームであろうが、Fリーグのチームであろうが、新入生になって、なかなかプレータイムを確保することが難しいです。そういう意味では試合に出ている、出ていないだけで、選手の可能性を決めるのは難しい年代なので、そこは自分の中でバランスを考えて、合宿にいろいろな選手を呼ばせていただいて、その合宿での短い期間での伸び方、吸収の度合い、選手の持っているポテンシャルを考えて、今大会をイメージして選んだメンバーです。

――隠すほど活動もなかったかもしれませんが、隠し玉のような選手はいますか?
鈴木 この世代の選手全員が隠し玉になり得ます。本当に短時間でも変わるんです。1試合目、2試合目、プレータイムの短かった選手が、3試合目、4試合目、もしくは勝負のかかった舞台で大きな活躍をする可能性はあります。タイランド5sでは、山田慈英が1試合目、2試合目とそんなにプレータイムが長いわけではありませんでした。それでも3試合目は化けたというか、かなり違う姿を見せてくれました。あの1週間もない活動で、若い選手は伸びてくるので。そういう意味では、すべての選手が隠し玉に成り得ます。彼らは、まだまだ吸収しないといけないところ、伸ばさないといけないところがたくさんあるので、この活動をそのきっかけにしなければいけませんし、そういう場だと思うので、全員が隠し玉だと思っています。とにかく僕の使命は若い選手を躍動させることです。どんな対戦相手と対戦しても、彼らは全面的に前に向かっていくと思います。