フウガドールすみだファルコンズ

帝京長岡に手の内を見せた初戦の敗戦の中で、すみだファルコンズ北隅智宙監督が得たモノとは

短期決戦のグループステージでは、初戦を落としたチームが勝ちあがるのは極めて難しい。

サッカーのW杯が行われた今年、大会が始まる前、フットボールファンはそんな話を何度も聞いただろう。02年から14年までの5度のW杯では、初戦で黒星を喫したチームは11%しか、決勝ラウンドに勝ち進めなかったというデータの話だ。

大会の入りとなる初戦が大事なのは、W杯以外の大会でも同じはず。だがJFA 5回全日本U-18フットサル選手権大会の初戦で、帝京長岡高等学校に2-5で敗れた、フウガドールすみだファルコンズの北隅智宙監督は、どこかうれしそうだった。試合直後のコメントを聞き直しても、あらためてポジティブな感情が耳に残る。

「勝ち点3を失ってしまいました。それでも、あと2つ勝てば決勝ラウンドに行けるという前提がある中で、自分たちがやってきたことを出していく狙いがありました。10点くらい取られたら、グループ突破がかなり厳しくなりますが、そこまで取られることはまずないでしょうし、自分たちが勝つイメージも持っていました。勝ち点3を失ったのは痛いですが、これから逆会場でやっている2チームの試合をしっかりスカウティングして、自分たちの持っているものを出し切れば、勝ち点6を取って2位で決勝ラウンドに上がれる可能性があることは非常にポジティブにとらえています」

初戦で黒星がついたことは、もちろん残念だったはずだ。それでも優勝経験もあり、過去5大会すべてに出場している名門を相手にまわしての黒星については「負けてもプラン通り」だったとも認める。

そして、細かく中身を紐解くと、そこには『次』につながるいくつもの伏線が張られていた。

通常、こうした短期決戦では手の内を出し切ることはしない。それでも、すみだファルコンズは、次から次へと、いろいろな手を繰り出した。プレスのラインの高低はもちろん、速攻や定位置攻撃のバリエーション、GKを上げてのビルドアップ、セットプレー、さらには前半のうちからパワープレーまで仕掛けたのだ。

手の内を見せる代わりに、すみだファルコンズには、帝京長岡の対応力をはかる狙いがあった。

「自分たちの手の内を出して、最強のチームを体感することで得られたもののほうが、大きかったと思います。この先、最終日に自分たちが残っているイメージを持っている中で、『あれくらいのプレスがくる。あれが日本一に一番近いプレスなら、次は対応できるな』という感触をリスクをかけた結果、得られました。選手たちも『次があるから切り替えよう』と言っていましたし、彼らなりの消化がすぐにできていて、明日に向けて何をすべきかがわかっています。負けたことは残念ですが、次に向けて準備をしていければなと思います」

さらに、この「手の内を見せる」ことも、実は狙い通りだったという。何より自信を持っているのは、昨年の準決勝で敗れてから同一メンバーで取り組んできたという強みだ。強気な言葉が、口を突く。

「(これだけのバリエーションを)この数日間でほかのチームに『対策しろ』というほうが、不可能だと思いました。対策に費やした結果、いろいろなところでエラーが出てくるはずです。そういうスタッフ間の対戦を踏まえて、僕は出し惜しみしませんでした。逆に言えば、まだ出していないものもあります。フットサル特有のっていうところで、自分たちが持っているものを出すことによって、対戦相手のこれからの時間にストレスをかけていけるかなというのもありました」

もはや、この言葉すらも、情報戦の一つだろう。もしかすれば、隠している戦術など、本当はもうないかもしれないからだ。

「僕もベンチにいるスタッフとして、戦わないといけません。これからいろんな情報を仕入れて、選手たちに伝えることも。そういう裏方の仕事として、いろいろなストレスをほかのチームにかけて『やらなきゃいけない』と思わせられたらなという狙いがありました」

以前は逆のことが起きていた。第1回大会の決勝が、良い例だ。サッカーチームがフットサルチームと対戦し、フットサルとは何かを体感する。グループステージで聖和学園FCを圧倒した名古屋オーシャンズU-18は、決勝で「負けるはずのない相手」(当時のキャプテンFP北野聖夜)に敗れて、涙を飲んだ。しかし今回は、その先を見て、フットサルチームがサッカーチームの力量を測ったのだ。

「あれだけのタレントがいる相手と決勝戦でもう一回、当たるとしたら、そこに『オレたちは、あれができたよね』という判断基準ができた。パワープレーも3つ使った中で、何がうまくいき、どういう対応をされたか。それでどういう現象になったか。全部、6試合を戦うイメージを持っての僕なりのプランニングです。だから、負けたっていうよりも『強いのは強い。でも、絶対に勝てなくはない』ということを選手とともに体感した。その経験が多かった……と最終日を前に言えるように、ここから努力しなければいけません」

「(帝京長岡が)強いのはわかっていましたが、どれだけ強いのかがわからなかった。サッカーのU-17日本代表選手が、フットサルでどんなアクションを見せるのか。ピヴォ当てのスキルは高かったし、佐藤亮コーチがスポットで入って、パワープレーで時間をつぶすこともした。チャンピオンチームになるための振る舞いとして、間違っていないと思いますし、それに対して自分たちがどうするかも、いろいろ考えないといけません。その意味では、フットサルのだいご味が詰まった試合になったと思います。フットサルチームだから勝てる保証はないですし、フットサルチームに対抗できる能力が、そもそもサッカーにある。彼らが優勝するか、僕たちが優勝するか。最後の日に、それをもう一回決められるのが理想といえば、理想です」

この前後で「次の試合が重要」と繰り返している北隅監督だが、あらためて聞き直しても、両チームが決勝に勝ち進むことを、信じて疑っていなかったことは伝わるだろう。

ここまでの筋書きは、その通りになった。そして指揮官は、その先も描いているはずだ。

すみだファルコンズが、悲願の初優勝を遂げる姿を。

それが現実となるか、夢物語に終わるのか。

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すべては明日、12時半にキックオフを迎える決勝で決まる。

 

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